A Dragon who is losted his power and wish for help.
G.side-17
目指すはエルダス!!

さざ波が白い砂浜に打ち上がる。白い泡ははかなく、新たな波に飲まれて消えた。
「・・・・・・」
ディクスは一人水平線の向こうを眺めている。
彼ら三人が船でついた場所、エスタの隣国シスト。美しい海の見える町・・・三人はそこからまた出発する
・・・はずだった。
「うーん!気持ちいーい!シストの海もとても綺麗ね」
靴を脱ぎ、海水の冷たさを楽しむ。
「ええ、シスト国の首都ネストはエスタ国に次ぐ海の綺麗な都市ですから。ラグーンに匹敵する透明度ですよね」
美しい海を眺めがら、スティングが感慨深げに言う。二人ともこの美しい光景を楽しんでいるようだ。
しかし一人違ったのは・・・
「で、ディクス、大事な話って?」
「何かまたいいレシピ思いついたんですか?」
話があると、ここまでつれてこられたナチとスティング。さっきから遠くを見ているディクスに尋ねた。
「ああ・・・―――― あのな・・・・・・驚かずに聞いて欲しいんだが・・・」
声のトーンを落とし、神妙な表情だ。ディクスに異変を感じ取った二人は不安そうな表情を見せた。
「え・・・?何?深刻なこと?」
「一体どうし・・・―――――― まさか!!」
スティングが何かに気づいたように叫ぶと、ナチもそれで思いついたように表情をこわばらせた。
「ネルディアスの竜神が・・・また!?ねえ、今度はなんて言って来たの!?」
「何か要求されたんですか!?」
迫る二人にディクスはますます暗い顔をした。
「実は・・・」
言いかけるディクス。
ナチとスティングの表情は深刻だ。新たな敵が襲ってくるのか・・・?
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
ナチとスティングには破ることの出来ない沈黙。それに耐え切れないとでも言うようにディクスは意を決した。
「実は・・・」
息を呑む。
「実は、金がないんだ・・・っていうか、マイナス・・・」
『・・・・・・・・・・・?マイナス・・・・!?』
ものすごく思いつめたディクスが言った言葉に、ナチもスティングもきょとんとした。
「――――― そう、借金と言う名の深い穴 深淵なる利息を重ね続けねばならない牢獄 どれだけ多くの人が苦しんでいることか・・・」
ほうけている二人をよそにディクスは語り始めた。
「もうすぐ・・・もうすぐそこだ・・・!! そう思ってここまで船で来たのがいけなかった!! 驕り高ぶり、そして 俺たちの財源の限界を忘れ、かつ、 歩くのを面倒くさがった結果だ!!
俺は借金を許さない 無駄な利息が付きまとう屈辱――― 悠久の時をかけて 返さなければならない忍耐力・・・けれど!!」
そこまで言って握りこぶしを天高く突き上げる。
「俺たちが借金をしなければ 未来永劫などないんだ・・・!!!」
『・・・・・・・・』
再び訪れる沈黙。
簡潔に言うと、船賃が足りなかったからこの町で借金する羽目になったのだ。船賃は後払いだったが、ディクスの予想に反して高くついてしまったのだ。
「―――――― というわけなんだ・・・」
そして弱弱しい笑みを浮かべる。
「すまん!!」
ぱんっ!
両手を合わせて拝むように二人に謝る。
「でも、ほら、ネルディアスの竜神が絡んでることじゃないし・・・それに、俺、全然大丈夫だから。心配してくれてありが・・・」
「それめちゃくちゃ重要なことじゃないのよ!!!」
するとナチが大きな声を上げた。
「え・・・?」
「まさかそんな恐ろしいことが・・・ディクス、何で早く言ってくれなかったんですか!?」
スティングも真剣な顔で迫る。今の二人には鬼気迫る・・・という表現が適切だ。
ディクスを顧みず、二人でなにやら真剣に話し合っている。
「そうよ!!ネルディアスの竜神なんて・・・!!そんな問題考えてる場合じゃないわ!」
「ええ、ネルディアスの竜神はディクスにしかからんできませんが、さすがに金欠となると僕らにも多大な被害が・・・!」
「そんな・・・!わたしの未来は真っ暗じゃない!」
ディクスの存在は完全無視だ。
「・・・・・」
「こんなところで油売ってる場合じゃないわ!急がなくちゃ!」
「ええ、雪だるま方式に借金が増えないうちに!」
ナチが力強くうなずく。ほうっておけば借金は増えるばかりだ。
「―――――――」
ナチは慌てて海から上がると靴を履き、町へ向けて走って行った。
「行こう、スティング!岩場に行って高品位の石見つけなきゃ!」
「もちろんです!任せてください!」
やはりディクスのことは無視だ。
「――――――― 」
ぼーっと突っ立っているディクス。ナチとスティングの二人はだいぶ向こうまで行ってしまったが・・・
「ディクスの心配してる場合じゃなかったわー!」
「予想外のことでしたね」
「急がなきゃ!」
・・・という声ははっきり耳に届いた。
「・・・・・・・・・」
がくっとその場にひざをつく。 どうやら借金を完済するまでこの町にとどまるのは必至のようだ。
ざざぁぁんっざぱあっ
突然の大きな波。波打ち際に崩れるディクスを優しく包んだのだった・・・






ディクス、あなたはまだ完全ではありません
あなたが本当の自分を見つけ出すそのときまで・・・あなたが真実と向き合うその日まで、私は見守り続けましょう
あなたの愛するディオール大陸と人間を・・・
そして時が来たら、どうか私に力を貸してください
――――― その時まで私は待ち続けます
どんな困難が訪れようとも、どうかあなた自身を見失わないで・・・


・・・そしてこれを境に俺とネルディアスの竜神の接触はなくなった。
俺たちは相変わらずエルダスへの旅を続けている。今までとなんら変わらない日々―――――
ネルディアスの言うことが本当なら、
俺を本当に必要とし、自分にしかできないことなら、俺は完全な状態を目指し続けられる。
「だって、ディクスにしかできないことなんでしょ?だったら他に誰がやれるのよ」
「フォースの力を行使する能力・・・これが鍵かもしれません。ディクス、応援してますよ!」
そして、応援してくれるやつらがいるから―――――
"―――― フォースと共にあろう"
心に決めたこの言葉、俺はますますそう強く思うのだ。
だってそうだろ?フォースの力を行使できるのは俺だけなんだから。
だから俺は二人にこうやって答えるんだ。
「俺は優秀な術者だからな!」
―――――― ってな


『D.Force 力失いし助け求める者』
-End-