D.Force The First Chapter
Force-15

サーベルタイガーに乗って


「こらーっ!スティングくっつくなー!」
サーベルタイガーの斜め上を飛ぶディクスがスティングに向かって叫んだ。
「僕に言わないでくださいー!」
「なにいってんのよ!手ぇ放したら落っこちるじゃないー!」
サーベルタイガーの背中に乗った二人が叫び返す。サーベルタイガーの体力、スピードは想像以上にすごかった。大人二人を乗せながらも、そのスピードは馬車をはるかにしのぐ。
しかしさすがに三人は乗れそうになかった為、ディクスは術を使って追走するかたちとなった。
サーベルタイガーの操作は首につけたロープを手綱代わりにスティングが行っていた。
「この分だと、馬車に十分追いつきそうね」
スティングにしがみつくようにして乗っているナチが叫びながら言う。その様子をディクスが面白くなさそうに監視している。
「そうですねー!途中で馬車見つけたらナチの荷物返してもらって、このままラグーンにいきましょう!それにしても早いですね!」
「サーベルタイガーに乗ったほうが経費が浮くな。・・・確か途中で川か何かあったろ!そこについたら休憩だ!俺も少しは休まないと!」
「そうね!・・・どうでもいいけどサーベルタイガーの毛並みって綺麗だし、気持ちいいわね。結構乗りやすいし」
「それは僕につかまってるからでしょう!僕ずり落ちそうでさっきから冷や汗かいてるんですからね!」
スティングが文句交じりにナチに言う。
「お願いだから落ちないでよ!」
そう叫びあいながらしばし。ディクスの言っていた川が見えてきた。
スティングがサーベルタイガーの足を止め、ディクスも術を解いた。
「・・・・」
連続的に精神力を使い続けたディクスはサーベルタイガーに近寄るとそのふかふかな背中によじ登り寝そべってしまった。
それでもサーベルタイガーは嫌がるそぶりを見せず芝生の上に身を落ち着けた。
「なんか自分のイメージのサーベルタイガーと全然違うなぁ」
そんな様子を見てナチがぽつっとつぶやく。
「そうですね。サーベルタイガーのイメージっていったら凶暴とか凶悪とかそういうものが多いですから」
「うん。でもちゃんと見分けることも必要なのよね、スティングみたいに。わたしスティングに止められてなかったら、あのまま術を発動させてたわ。危なかった。・・・もっと知らなきゃいけないことがたくさんねー・・・それに向き合わなきゃいけない現実も」
言いながら芝生の上に座った。スティングもその隣に座る。
「あーあ、ディクスずり落ちそうになってる」
ナチの視線の先にはサーベルタイガーの背中で寝そべっているディクスだった。しかし、体がだんだんとずり落ちてきている。
「あのままじゃ落ちちゃいますね」
他人事のように言う二人だった。しばらくそうして見ているとサーベルタイガーの長いしっぽがディクスがずり落ちるのを防いだ。
「頭のいいサーベルタイガーね・・・」
ナチが笑いながら言う。スティングもそれを見て笑っている。
「ラグーンに着いたら何しよっかな〜?やっぱ白い砂浜で寝たり、海で泳いだり。魚釣りなんかもいいかもね。ねえ、スティングはなにするつもり?」
「・・・そうですねー。僕も同じですよ。どうせ三人一緒に行動するでしょうし」
そう言うと草の上に大の字になった。
「なんか・・・ディクスやナチたちとこうやって旅するようになって大分たちますけど・・・でも、本当にちょっと前までは【箱入り】だったんですよね。本でしか外の世界を知る術がなくて、いつも王宮内だけで。
それにきつい指導に訓練、術強化・・・この旅生活が夢なんじゃないかって思うくらい今すごく幸せなんですよ」
スティングが透き通るような青い空を見上げながらつぶやくように語った。
しかし、幸せだといったスティングの瞳はどことなく陰っているように見える。それを見たナチがあわてて目をそらした。
「・・・そうなんだ。わたしはずっとディクスと一緒だったから。だからって寂しいって感じたことは無いけどね。それに今はスティングもいるし、退屈しない毎日よ」
「ははっ、有難うございます・・・そういや、ずっと疑問に思ってたんですけど、フォースを全て集めたとして、ディクスはそれをどうするつもりなんでしょうね」
スティングがずっと疑問に思っていたことを口にした。
「ごめん、わからない・・・まだ、ディクスから何も聞いてないから」
・・・わたしだってわからないよ。何でフォースを集めているか、それさえわからないのに。全部集めてどうするつもりなのかなんて・・・
「いえ、ナチのせいじゃないですよ。ただちょっと気になっただけですから。それに集めちゃえば理由は嫌でもわかるでしょうし。もちろんその日まで僕は着いていくつもりですよ!」
ナチが気を落とすように言ったのが気になったのか、体を起こしてスティングがあわてて言う。
「え、本当に最後までついていくつもりなの?時間どれだけかかるかわからないのに」
「そりゃあ、ここまできて下がるわけにはいきませんよ。着いてくるなって言われても着いていきますからね。覚悟してください」
―――――― 一国の王子って身なのに
「うん・・・じゃあ、信じるね。ところであのさ・・・立ち入ったこと訊くけどいいかな?」
ナチがスティングを横目でちらちら見ながら言った。
「おっけ〜、何でも訊いてちょーだい!」
「うわわっ!」
いつ起きたのか、ディクスが二人の間にもたれかかるようにして入り込んできた。
「ディクス!?お、起きてたの?」
ナチが驚いて尋ねる。ディクスはうんうんとうなずいた。
「うん、『え、本当に最後までついていくつもりなの?』のあたりから。俺を差し置いて何話してるんだよ」
ジト目でスティングに顔を近づけた。
「別にこれといってないですけど・・・ディクス、もう寝なくていいんですか?ほとんど寝てない気もするんですけど」
「大丈夫!俺まだ若いからすぐに回復するし、これからのパラダイスを考えたら精神力の回復なんて早いもんだって。あのトラも疲れてないみたいだし・・・そろそろ行くか?」
親指を立ててウインクする。
「トラ・・・?な、なんかのってるわねー。何か良いことあったの?」
微妙にハイテンションなディクスにナチがやや引き気味に訊いた。訊かれたディクスはにかーっと笑みを浮かべた。
「いや、全っ然」
それでもにこにこした表情で即答する。
「あ、そう。・・・でも、まあディクスが回復したんだったら出発しちゃう?」
「早く馬車に追いつくためにもそうしましょうか」
「善は急げってね!ほら、トラに乗った乗った!」
精神力が回復したディクスが二人を急かす。
スティングがゆっくり起き上がったサーベルタイガーの背中にまたがり、ナチが続いた。術を発動させたディクスが地面から少し体を浮かせながらそれを監視している。
「スティング、もっと前!ほらナチ、スティングの腰じゃなくてトラの背中をつかめ」
ナチとスティングがくっつくのが嫌なのか、むちゃくちゃなことを言う。
「前ですか・・・・」
「トラの背中って・・・んなことできるわけないでしょ!いくらなんでも可哀想よ。ただでさえ大人二人分も乗っけてもらってるっていうのに」
ナチが文句を言うがディクスは引かなかった。
「・・・じゃあ、僕とナチが場所交代しますか?ナチが前のほうでかがんでくれれば、僕が手綱を後ろのほうでひきますから」
スティングの提案にようやく落ち着く。しかし、やはりディクスは色々と注文をつけてきた。
「スティング、もっと後ろ!間違ってもナチにつかまるようなことはしないようにな。ナチ、できるだけ前に詰めて間隔あけろ」
「これ以上後ろに下がったら僕落ちます・・・それに結構風も強いからバランスも取りにくいんですけど」
ディクスの気持ちがわかるのか怒ることなくすまなそうに言う。
「もういいでしょ!こっちは大変なんだから。スティング、もういいから行こう。こんなことやってたら日が暮れちゃう」
スティングに手綱を渡しながらナチが促す。手綱を手に取り少し困惑気味だったが、ナチの言うとおりサーベルタイガーを走らせた。
「あ!・・・全く、あいつ俺の心配全然わかってない・・・待てよ!」
ディクスの気持ちを察している辺り、スティングに何も警戒する必要もないし、それをわかっているはずだがディクスはつい細かいことを言ってしまう性分だった。
置いていかれ不満たらたらに後を追いかけた。


「あ、ねえディクス、スティング、あれ!」
それから程経たないうちに、置いて行った馬車の姿が小さく見えた。いち早く見つけたナチが声を上げる。
「追いついたな!でもどうやって馬車を止める?俺が回り込もうか」
「そうですね、僕らが言ってもこのサーベルタイガーを怖がって逆効果になりかねませんから。森の中を走って馬車を追い越します。荷物返してもらったら追いかけてきてくださいね!」
そう結論に達し、全てをディクスにゆだねることになった。
馬車との間隔がだんだんと縮まる。
「荷物ちゃんと取ってきてねー!」
サーベルタイガーの進行方向を街道から草木の茂る森の中に移した。荷物を取ってきたディクスがすぐに追いつくように走るスピードを少し落とす。
「やれやれ」
スティングたちが森の茂みに消えて見えなくなるのを見届けると飛行スピードを緩めた。少しずつ馬車に近づく。
そして馬車に併走する形となった。
―――そろそろ行くか・・・
先行く道が直線であることを確認し、御者が見える位置についた。あの時気絶していた御者が手綱を握っていた。
「すーみーまーせーーん!」
「うん?うわあああっ!!」
大声で声をかけたディクスに、御者も大声で悲鳴を上げた。馬車のスピードを速めようと振った手綱をディクスがつかんだ。
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!俺!!ほら、さっきまで乗ってた乗客!!」
そこまで言って、ようやく御者が落ち着きを取り戻す。が、まだやや動揺している様子だ。
「止めなくていいから話を聞いてくれ!荷物をとりに来たんだ!返して欲しいんだよ!」
馬車にぶつかるすれすれに飛ぶディクスに圧倒されたのか、御者は無言でこくこくうなづくと、前方を確認して荷台を振り返った。
「お客さん!さっきの人たちの荷物が残ってたでしょう。それ渡してくれんか?」
緊張気味に叫ぶ御者にティアがナチの荷物を持ってきた。
「これよ。でも、どうするの?あいつらここに・・・」
いいかけてやめた。目は宙に浮かぶディクスに釘付けだ。
「ああああああ、あんた!!」
指をさして叫ぶ。御者は荷物を受け取り、ディクスに渡した。
「サンキュ!ああ、それから客の俺たち置いて行っただろ。だから、切符代と、賠償金。当然払ってくれるよな?」
にっこり笑う。片手を御者の肩にのせる。
「・・・・・・・・」
「俺たち被害者なんだけど?襲い掛かってきたモンスターを退治したのに置いていかれてさ。あのままだったら皆生きて帰れなかったかもしれなかったんだぜ?・・・まあ、感謝してほしいとは言わないから、せめて賠償金ふくめて十万。当然払ってくれるよな?」
再度確認するように言う。
サーベルタイガーを倒すような仲間を従え、さらに馬車と平然と併走するような人間に逆らう術などあっただろうか?
「ん?もしかして・・・」
「ははは、払いますっ!払わせていただきます!!」
命ばかりはと言わんばかりに御者はあわてて答える。
「どうも!ああ、俺がしばらく馬を走らせるから、準備よろしく」
―――――― くっそー!用意周到なやつめ!なんでこんな客乗ってたんだ・・・ったく散々だ!
ディクスに手綱を渡し、そして突っ込んだポケットの中から小切手を取り出す。ペンで数値を書き込み、その上にハンコを押した。
「こ、これで十万!確かに渡したからな!!換金は組合でやってくれ!」
ディクスの目の前に突きつけるように渡すと手綱をひったくった。
「確かに十万。よしっ!これで用はすんだ!邪魔して悪かったな」
満足そうに言うと馬車から体を離した。
「じゃあな!良い旅路を!」
馬車から一気に遠ざかって行ってしまった。見える街道には小さな馬車が一台のみ。
「・・・おれ、リストラ確定だな」
誰に言うでもなく、うなだれる御者はポツリとそうつぶやいた。
一方、目的を果たしたディクスは一路、スティングの元へとスピードを上げていった。
「そんなに離れてないと思うんだけど・・・道これっきゃないし」
それから5分ほど経ち、ようやく二人の姿が見えた。馬車を十分に追い越した一行は再び街道を疾走していた。
「ナチ!スティング!」
声が十分届く位置まで近づき、ディクスが声をかけた。
「ん・・・?あっ!ディクス!」
声の届いたナチがやや窮屈そうに顔をめぐらした。
「お帰りなさい!!」
サーベルタイガーの前にまわったディクスにスティングが声をかける。
「荷物大丈夫だったよ!この通りな!」
いってナチの荷物を掲げて見せた。
「ありがとね!」
「ディクス、術を封印してください!ちょっと現在の位置を確認しましょう!」
スティングの提案にディクスがうなずき、少しずつ飛行速度を落としていった。あわせるようにサーベルタイガーの走行速度も落ちていった。
「うーん!!はあ・・・なんだかやっと解放されたって感じ・・・そんなに乗ってなかったんだけどな。スティングは大丈夫?」
「普段は歩いてますからね。僕は馬を乗る要領で乗ってますから不便には感じてないので大丈夫です」
背伸びたナチの問いにスティングが答える。
「それよりこのサーベルタイガーの体力が問題なんですけどね」
サーベルタイガーの腹の辺りをなでる。気持ちがいいのかのどをごろごろ鳴らしている。
「スティング、さっき休憩した橋がこれだろ?」
ディクスが大きな地図を広げてスティングに見せた。
「そうですね、ここでしょう。さっき小さいものでしたが池がありました。何かそれっぽいものありますか?」
「小さな池・・・俺気づかなかったんだけど・・・あ、これのことか?」
いって指をさす。地図上でさっきの橋から二十センチほど離れた場所だった。
「大分離れましたね。一時間程度だったと思うんですけど・・・思ったよりもこのサーベルタイガー走力があるようです」
「俺だって二人を追いかけるのにほとんど全速力で飛んできたしな」
ディクスが地図の縮尺度と地図上での移動距離から速さを割り出した。やはり馬車で行くよりかなり早いようだ。
「既にエスタには入っています。もともと国境は近かったですしね。ラグーン行きの港までは町から四百キロ前後でしたから・・・もう半分以上進んでることになります。この分だと昼過ぎにはつきそうですよ」
「四百キロ!?そんなに離れてたのか!?」
ディクスが驚いて声を上げる。
「・・??そうですけど、どうかしたんですか?」
「歩いていくなら五日どころじゃないなって思って・・・二週間くらいかかるじゃないか」
正直、歩いていこうかななどと本気で考えていたのだ。目的が楽しいことなら長い旅路もつらくないだろうと思っていた。さらに金の節約にもなる。
「歩く・・・できないことはないですけど・・・この街道じゃ途中の町はありませんし・・・野宿の連続ですよね」
スティングが苦笑いをする。
「でも現実にはサーベルタイガーに乗ってここまで来れたんですし・・・良かったじゃないですか」
「俺は自力だけどな」
続けたスティングにディクスがやや不機嫌に答えた。
「ねえ、スティング。このサーベルタイガーに水あげてもいいかな?」
サーベルタイガーの毛並みの感触を楽しんでいたナチが思いついたように訊いた。
「いいですよ。のどかわいてるでしょうから」
そう許可をもらい水の術を使った。
「ディクスは大丈夫ですか?さっきより長く術を使い続けて疲れてないんですか?」
「俺なら大丈夫。まだまだいけるよ」
―――――― 本当に強い精神の持ち主ですね・・・なのになんで時々トリップしたりするんだろう?
スティングのディクス三大不思議のひとつだった。
「なんだ?」
「え、あ。別になんでもないですよ」
スティングが不思議そうな顔をして見ているのに気づきディクスが不審そうに訊いた。当然スティングは曖昧な返事をして本心を隠す。
「後どれくらいかわかった?」
手を水でぬらしたナチが地図を覗き込んでいた二人に声をかけた。
「ああ、思ってたよりも結構進んでることわかったよ」
「そっか、よかった!さわり心地はいいんだけど、乗り心地はあんまり良くなくて・・・」
「贅沢言うなよ、俺なんて精神力削って飛んでるんだから」
会話を続けている二人を後にスティングはサーベルタイガーに近づいた。
手ですくった水では間に合わなかったのか、氷で作られたややいびつな深皿のようなものが置いてあった。中の水を飲み干したサーベルタイガーはまだ飲み足りないのだろう。その氷をなめていた。
―――― 術で作ったんですね。
もどかしそうに氷をなめ続けているサーベルタイガーを制すと、氷の器のなかを術で水を一杯にする。
「はい、どうぞ」
飲むようにすすめると一度スティングの顔をうかがい、それから水を飲み始めた。
ぐぅー・・・
「あ・・・」
お腹の虫の音に思わず腹を押さえる。ポケットから懐中時計を取り出し時間を確認する。もう昼だ。朝はしっかり食べたとはいえ、食べた時間が時間だけに空腹を感じたのだった。
「ディクス、ナチ!」
立ち上がり二人を呼んだ。
「どうしたの?」
背を向けていたナチが振り返る。
「そろそろお昼なんですけど・・・ここで昼食でも取りませんか?」
少し言いにくげに提案する。
「もうそんな時間なのか。スティング、今何時だ?」
「十一時三十分過ぎです」
「もう十二時ね。ディクス、お腹すいた?」
「俺はまだ大丈夫だけど・・・・」
いいながら頭をかいた。二人はまだ空腹を感じてはいないようだ。
―――― ・・・このまま出発はちょっとつらいかもしれない・・・どうしよう?
朝、一番食べていたのはスティングだった。ディクスのように術を使ったわけでもないのに一番先に空腹を訴えるのはなんだか恥ずかしい気がして本音を言い出せなかった。
ぐううーーっ・・・
空腹を訴える大きな音。
「えっ?」
ディクスとナチが音の発信源を特定しようとする。
「ディクス?」
「いや、俺じゃないよ・・・・」
言って残りの一人に視線が行く。二人の視線の先には恥ずかしそうに頭をかくスティングがあった。
「僕、お腹すいたんですけど・・・」
笑われるだろうと思ったスティングは苦笑いをしてみせる。
「スティング、お前何恥ずかしがってんだ?」
しかし二人の反応は薄かった。二人ともなんで?と言いたげな顔をしている。
「えっ・・・」
「なんだー、お腹がすいたら空いたって言えばいいのに。なーに遠慮してるのよ!」
スティングの態度にディクスと同じように思ったナチが笑う。
「いまさら遠慮することなんてないだろ?」
ディクスがさも当たり前のように言う。そして足元においていた荷物をほどき始めた。
「あ、僕も手伝います」
「当たり前だろ?」
笑いながらディクスはスティングにコーヒーカップを渡した。
「スティング、術で水だすんでしょ?何もすること無いから手伝う」
「ありがとうございます。でも大丈夫ですよ」
ナチの申し出を断りカップを並べる。
「わたし何もすることないんだけどな・・・」
ナチはやや不服そうだ。
スティングは術を使い熱い湯をコーヒーの粉の入ったカップに注いだ。
「できた・・・と。ナチ、一つ持ってくれますか?」
「うん、わかった!」
熱いコーヒーが入ったカップを手に三人は地面に座った。