D.Force The First Chapter
Force-17

迷走・豪華客船エスティナ号!


「というわけで、俺は今まで嘘をついてたんだ!ごめんなさい!」
ディクスが頭を下げる。いきなり入ってきて、すごいことを口にされて謝られてスティングは困惑していた。
「ディ、ディクス、頭上げてください!僕なんとも思ってないですから!やめてくださいよ」
かなり困っているようだ。
「それに・・・僕はディクスを奇異の目で見るとかそんな事絶対にしませんよ。フォースの力を引き出せる能力ですよね。すごいことじゃないですか。今まで隠してるなんて水臭いですよ」
笑ってみせる。
「・・・・本当にいいのか?」
顔をゆっくり上げたディクスが何故か声のトーンを低くして訊く。
「???・・・当たり前じゃないですか。フォースを集める理由がそれならなおさら僕はディクスについて行かないといけないですね。お荷物でしょうけど頼みますよ」
スティングが微笑む。
「・・・・」
「ディクス?」
黙りこくったディクスに声をかける。
「スティング!お前ってやつは!!」
「なななな何ですか!?」
ディクスはいきなり叫ぶとスティングの背後に回り、腕を首に回した。丁度ヘッドロックをかけるような感じだ。
「意外と可愛いやつだったんだな!」
言って首にかけた腕を上に引っ張る。
「く、くるしい!!」
スティングは逃れようと立ち上がるが同時にディクスも立ち上がり阻止する。しかし身長はスティングの方が高いため、スティングの体重全体を自分の体に乗せるように上体をそらした。
「!!!」
スティングの首がさらに締め上げられる。
「これならエンドレスはまだまだ安泰だな!」
わけのわからないことをいい、目を白黒させているスティングをようやく解放した。
「げほっげほっ・・・」
スティングは首の辺りをさすりながら咳き込んだ。
「ひどい・・・ですよ・・・」
苦しみながらようやく声を出す。
「まあまあ、気にするな!」
そう言ってスティングに背を向けた。
「?」
照れ隠しだった。スティングなら了承してくれるだろうとナチのお墨付きもあったのだが、実際こうあって予想以上に嬉しくて舞い上がったのだった。顔がにまにましてしょうがない。
そんなディクスの気持ちを察したのかスティングが立ち上がり出口へと向かう。
「僕ナチのところ行って来ますね」
「ああ、ナチは甲板にいるよ!」
相変わらず振り返らずにディクスは答えた。
―――――――― 本当にわかりやすい人ですね。
そしてナチのいる甲板に上がっていった。


「ナチ!」
甲板にいたナチはどこまでも続く水平線を眺めていた。スティングに声をかけられ微笑んで振り返る。
「聞いたんだ?」
「ええ、聞きましたよ。単刀直入で最初はびっくりしたんですけど。フォースの力を行使する能力を持っていること、ディクスだからって思ったらなんだか当たり前のよう思えてきて。なんかほらディクスって万能みたいな感じするじゃないですか」
言って笑った。
「そだねー。わたしには歯切れの悪い話し方してたたんだけど、スティングにはいつもの調子で話してくれたんだね」
「本当にびっくりしましたよ。頭まで下げられましたし」
「えっ!そんなことしたの?ディクスが!?わたしには特に何もしなかったのに。差別だわ」
ナチはわざと驚いて見せ、笑った。
・・・首絞められましたけどね。
「でも今回のことでまた一つディクスに認められたような気がして嬉しいです。唐突でしたけどね」
「実はわたしも。ディクスはつらそうだったけど嬉しかった!ずーっとつっかえていたことだったからなんだかすごく清清しい気分よ。これでラグーンのバカンスもより一層楽しめそう」
「それは良かったです」
スティングはナチの隣に足をすすめた。
「ディクスとも話したんだけど、この船って本当にすごいわよね。すごく大きいし、綺麗だし。まさか図書室まであるなんて思ってもみなかった。スティングが言ってたすごいものってこれの事だったのね。ありがとう!」
「いいんですよ。でも、僕が言ってた本当に見せたいものってこれじゃないんですけどね」
そう言って笑った。
「違うの?わたしこの船の事だと・・・」
「まだ時間がありますね。時間になったらまたここに来ましょう」
「・・・うん・・・???」


・・・っとにこの船すごいな・・・
ディクスは一人船の中をうろうろしていた。・・・というより迷って自分の部屋へ戻れなくなっていた。
ここではないか?と扉を開けるが、そこはホールへ続く扉だった。そんなことが何回あっただろうか?いい加減ディクスは疲れていた。
―――――― さっきの案内ちゃんと見ておくべきだった・・・
方向音痴ではないから何も見なくても大丈夫だろうと高をくくっていた。しかし、迷いに迷いついに船底の貨物室まで来てしまっていた。
「俺は貨物室なんかに用はないんだがな」
一人寂しくつぶやく。もちろん誰も反応してくれるものはいない。
「リディアのばかやろーっ!!科学なんかに頼るな!自分を頼れーっ!」
やけくそ気味に叫ぶ。無機質な部屋の中に声が反響する。
・・・・・。
やはり反応してくれるものはいない。
―――――― 寂しすぎる・・・
深くため息をつくともと来た道をたどり始めた。
その途中だった。ディクスにとっては実に奇妙なものを発見した。
なんだ・・・これ?
ディクスの視線を釘付けにしたのは階段だった。ただ違うのは上へと自動的に動いていることだった。
・・・・・コンベアーとか言うやつか?
荷物を運ぶために床の一部が動くシステムがあると聞いたことはあったのだが、階段が動くものは聞いたことがなかった。一体どこから階段が来るのか、延々と上へ上へと稼動している。
なんでこんなところに・・・
科学の発達していないディオールの住人には"エスカレーター"は奇妙に見えたらしい。ディクスも例外ではない。まさかそれが人間が移動するための便利なものだと思うはずがない。さらさら乗る気は無かった。
「別の道探すか」
うんざりしたようにつぶやくととぼとぼと別の通路を歩き始めた。
興味本位で妙なボックスの中に入るんじゃなかったと後悔した。勝手に開いた扉の向こうに何かがあるだろうと思っていたが、通り抜けられるものはなかった。戻ろうとしたが扉は硬く閉じられ、ボックスが動き出したのか奇妙な感覚に不安を覚え、再び扉が開いたがさっきを同じ光景だった。
・・・なんだ、何にも変わってないじゃないか。
その勘違いがいけなかった。"エレベーター"に乗ったディクスは、知らずに二階まで来てしまっていたのだ。ちなみにディクスたちの部屋は八階である。
そんなこととは知らずにディクスは付近をぐるぐる回っていたのだ。
自動ドアをくぐる。ちなみにディクスは自動ドアには慣れているらしい。
「やっぱ気になるよな、これ。絵・・・じゃないよな、これ。ガラス・・・?」
ディクスの目の前にあったのは船内案内用のタッチパネル式モニターだった。船が海上を走っている絵が映っていると思えば、次の瞬間は船の断面図が表示された。その図の船内の下のほうに赤い光が点灯している。現在位置を示しているのだった。
動く絵なんて見たことがなかった。しかもなんともリアルなのだろう!?
何回か見かけたのだが、役に立たないだろうと気に留めていなかったのだった。しかし、今回ようやく眺めてみる。
ディクスは一人感心していた。映像に触れたことのないディクスは面白くて仕方がなかった。
「ガラスだよなー」
言いながらモニターをこんっとたたく。
ピッ
電子音が響き映像が切り替わる。驚いたのはディクスだ。壊れたのではないかと気が気でなかった。
「やべっ!」
しかし、他に何も変化はなかったのでやり過ごすことにした。気を取り直して再びモニターに目を落とす。
「【見たい項目を押してください】だって・・・・???【ラグーンでの過ごし方】【クイーン・ヒュー・エスティナ号について】【船内情報】【船内案内図】・・・やっぱここは【船内案内図】だよな」
自分に言い聞かせるようにつぶやくと恐る恐る指で押してみる。
再び電子音とともに映像が切り替わる。船内の地図が表示され、赤く点灯している部分が自分の現在地だと気づくまでに時間はいらなかった。
「なんだ・・・これって、現在地を示してたのか・・・にしても、俺いつの間にこんな下まで来てたんだ??」
エレベーターに乗ったことにまだ気づいていないディクスは腑に落ちないながらも経路図から非常用階段を見つけ出し、ようやく八階まで戻ることができた。
「や、やっとついた・・・」
どっと疲れたのか肩を落として自分の船室に足を運んだ。
「ただいまー」
「あ、帰ってきた!どこ行ってたの?探したんだよ」
船室でディクスを待っていたナチが待ちくたびれたというように文句を言う。
「ちょっとな、花摘みにそこまで」
「花摘みぃ??」
まさか迷ったなんて死んでもいえなかった。よろよろしながらベッドに腰をかけた。ベッドのすぐ横にある窓から海が見える。もう夕方のようだ。
俺、そんなに迷ってたのか・・・?
無機質なでか物に振り回された(?)自分が情けなかった。
「あのね、スティングがいいもの見せてくれるって言ってたんだけど、ディクスが見つかったら一緒に来てくれって」
「そういや、スティングどこにいるんだ?」
「多分甲板じゃないかな。そこで待ってるって言ってたし。6時ごろになったらっていってたから今の時間が丁度いいんじゃない?」
甲板?何かあったか・・・?
スティングが見せたいものに心当たりはなかった。
外に何かあるのか?
小さな窓から顔をのぞかせる。
――――――― なるほど。
一人納得したディクスは窓から視線をはずす。
「なんだろうねー?見せたいものって。船に乗る前もそんなこと言ってたんだけど」
「ナチ、お前独りで行けよ。俺はいいや、疲れた」
そういうとディクスはベッドにねっころがった。
「行かないの?いいものが見れるのに」
「俺のガラじゃないからいいよ」
何がガラじゃないのかナチにはわからなかったが結局独りで行くことになった。
「じゃあわたし行くからね」
「ああ、いってらっしゃい!」
顔も向けず手をひらひらさせてディクスは言った。
――――― さっきのは本当にディクスだったんだろうか?
あまりのギャップに思わず疑ってしまったナチだった。


「本当に浮き沈みが激しいんだからー」
まだぶつぶつ文句を言いながらエレベーターに乗って甲板に来た。エレベーターの扉が開く。スティングがいるであろう甲板に出るため右に曲がったそのときだった。
「うわっ」
あまりの眩しさに目がくらむ。そしてそろそろと目を開けた。
「大丈夫ですか?」
「ん・・??」
目の前にスティングがいた。強い刺激のせいで目がちかちかする。逆光のせいもあってスティングが黒く見える。
「あ、スティング」
目を押さえてこすってみる。
「日差しが強くて目、やかれちゃった」
苦笑いする。
「日差しが強いですからね。慣れるまでつらいでしょうけど、こっちに来てください」
スティングに手を引かれ外に出る。ようやく慣れてきた目で辺りをきょろきょろする。あまり人はいないようだが・・・
―――――― なんだか・・・・
「ほら」
「えっ?」
スティングの前に手を引かれた。
目の前に広がっていたのは広大な海だった。ただ違っていたのは一面が夕焼け色の染まっていたこと。まさに太陽が沈まんとしている光景だった。
「ふあーっ!」
ため息とも叫びとも取れない声を出してナチは驚いた。
「いいものってこれのことだったのね・・・」
スティングが見せたかったのはリディアの最先端の科学ではなく、何物にも変えがたい自然のスペクタクルだった。
「昼間の海が好きって言ってましたよね。もしかしたら夕焼けの海を見たことが無いんじゃないかって思って」
その通りだった。真っ青な昼間の海を見たことはあったが、夕焼けの海を見たことは無かった。ナチは昼間の海が一番好きだと思っていたし、一番綺麗だと思っていた。だが夕焼けの海を目の当たりにして考えが変わったようだ。
「何かと思ったんだけど・・・本当にすごいね、綺麗!」
「こんな時にしか見れませんから」
風に揺れている髪をかき上げた。
「もしかしてディクス知ってたのかな」
「そういやディクスはどうしたんですか?」
「うん、部屋に戻ってきたことは戻ってきたんだけど【俺のガラじゃない】って言って来なかったの。窓から外のぞいて独り納得してたからスティングの見せたいものがなんだかわかったんだろうね」
「そうですか・・・」
スティングはやや残念そうだ。ナチは視線を海から船上へと移す。さっきも気になっていたことなのだが・・・
―――――― なんだかわたしたち場違いのような気がする・・・
そう思っていた。
人はまばらだった。だが、共通していることがあった。
「なんか、カップルばっかだね・・・」
ナチがぽつっとつぶやく。
「え?」
「だから、人は少ないけど・・・けど、みんな恋人同士なんだろうねってこと」
ナチに言われスティングを顔をめぐらせてみる。確かにナチの言う通りかもしれなかった。
若い男女が何組もいる。
「・・・・・」
「ちょっと場違いだったかもね」
ナチが苦笑いをする。
「・・・・」
「スティング?」
「えっ?あ、ああ・・・そうですね」
珍しくスティングが狼狽する。ナチは不思議そうな顔をしていた。
「ナチ、僕ってナチから見てどれくらいの位置ですか?」
「位置?位置って?」
ナチが訝しげに訊き返す。
「ですから、僕のことどう思ってるかってことですよ」
「えーっ?どう思ってるって、旅の仲間・・・じゃないの?」
ナチはさも当たり前だというように即答した。もちろんスティングの予想していた回答だ。
「ちなみに僕ってほかの男の人と比べるとどれくらいですか?自分じゃよくわからないんですけど」
「比べるって・・・ルックスのことね?わたしはSランクだと思うけど・・・」
にっこり笑ったナチにスティングは硬直した。
Sランク!?ABCD・・・QRの"S"!?そ、そんな!
「でも、男の人は顔じゃないもん。その点スティングは大丈夫ね!」
スティングは聞いていなかった。ルックスはせめて人並みだと思っていた。しかし、まさか"S"ランクだといわれようとは思いもしなかった。アルファベット順で考えればSは相当下だ。
「・・・大丈夫?スティング」
「え、ええ・・・なんでもないです。男は顔じゃないですよね」
そうぽつっとつぶやいた。
「う、うん、わたしはそう思うけど・・・??」
妙な雰囲気に気おされる。
「僕もっと料理できるようにがんばりますね」
何故かそんなことを言った。
「あと裁縫もできるようになったほうがいいかもしれません」
「あ・・・そう」
ナチにはちんぷんかんぷんだった。まさかスティングが自分のルックスにコンプレックスを抱いていようなど考えもしなかった。
――――――― もしかして・・・
ふと思い当たることがあった。
"場違い"って言ったのがまずかったのかな・・・?
「スティング、やっぱり場違いじゃないよ!ほら、わたしとスティング年も近いし、見ようによっては恋人同士に見えるかもよ」
苦し紛れに言ってみる。が、しかしスティングは不思議そうな顔をした。
「え、ナチと僕が恋人同士にですか?まさか。安心してください、僕じゃ不十分ですよ」
そう言って笑った。どうやら原因はそれではないらしい。
―――――― スティングだもんね、そんな事思うはずないか。でも・・・不十分って・・・それはわたしのセリフだわ・・・
スティングの本音に逆に少し傷ついたナチだった。
「ナチ、どうやったらルックスって良くなりますかね」
唐突にスティングが訊いた。
「ルックス??さあ、わたしにはわからないわ・・・」
「ですよね」
「・・・・」
日はほとんど落ち、もう完全に隠れようとしている。辺りも大分暗くなってきた。
ぱんっ
スティングが何かをひらめいたように手をたたく。
「さてと、日も沈みましたし・・・多くならないうちに食事でも取りましょうか!」
「う、うん。そうだね」
スティングが大きく伸びをする。
・・・わたし何か悪いこと言ったかなぁー?
「じゃあ、船内に戻りましょう」
スティングが歩き出す。
――― なんだろうな?・・・よしっ!
「スティ〜ングッ!」
駆け寄るとスティングの腕を取った。そして腕をからませる。
「今日は有難うね!」
顔を上げて礼を言う。
「僕は何もしてませんけどね」
笑みを浮かべる。
・・・あれ?いつもと同じだ・・・
スティングはいたって普通と同じだった。納得のいかないままスティングに引きずられるようにして船室に戻った。
「今帰りました」
「ただいまー」
ねっころがっていたディクスが反射的に身を起こす。
「ああ、やっと帰ってきたか。―――――― にしてもなんでお前ら腕なんか組んでるんだ?」
めざとくディクスがにらむ。ナチが思い出したように腕をほどいた。
「ちょっと恋人同士気分を味わってみようと思って」
「!?」
嬉しそうに言ったナチにディクスの表情が驚愕する。
「嘘に決まってるじゃないですか」
スティングが苦笑しながら言う。
「そうよ、そんなことあるわけないじゃない」
ナチがジト目でディクスを見る。
「寿命が十年縮んだ・・・」
ディクスがつぶやく。
「大げさねー。ねえ、そろそろ時間だし・・・ディクス、夕食食べに行こう?」
「ああ、そうだな」
「うん、わたしちょっと着替えてくる、待っててね」
そういうとナチは隣の部屋へと消えた。それを二人の視線が追っていた。完全に見えなくなると同時にほっと息をつく。
「俺たちも着替えるか」
そう言って立ち上がる。クローゼットの中に入っている少々フォーマルな服を手にする。
「こういうの苦手なんだけどな」
豪華客船だけあって乗客は上流階級の人間が多いようだった。当然夕食もそれなりのものであり、普段着でのこのこいけるような状況ではなかった。
あらかじめレンタルしておいた服を着なければ浮いてしまうだろう。
「見せたいもの夕日だったんだろ?どうだった?」
「ええ、綺麗でしたよ。ナチも喜んでくれたみたいですし」
「そうか。ま、俺にはあわないけどな」
そういうとあくびをした。
「ディクス、一つ訊きたいことあるんですけど・・・」
スティングが言いにくげに訊いてきた。
「どうやったらかっこよくなれるんですか?」
予想しない質問にディクスは目をむいた。
「はあっ!?何でそんなこと訊くんだ?」
「ははっ・・・」
「あ、もしかしてナチのやつになんか言われただろ?また女装のこと話題にされたのか?」
「違いますよ」
「じゃあ何でそんな事・・・」
訝しげな表情で見ている。
「ナチから見て僕は"S"ランクだそうです」
声を落としていう。
「自分で言うのもなんですけど、せめてルックスは普通じゃないかって思ってたんです。だけど、ナチに訊いたら・・・・ナチにそういわれるなら世間から見てもそうなんだろうって思うと・・・」
珍しくルックスの問題で傷ついているようだ。とりあえず気にはなるらしい。
―――――― Sランクって・・・Aの上のランクのことじゃないか・・??もしかしてディクスのやつアルファベット順に考えてるんじゃ・・・
まさにその通りだった。ナチはAを上回る最上級の意味でSランクだと言ったつもりだった。ところがスティングは勘違いして一人落ち込んでいたのだ。
「どうすればいいんですか?せめて普通の下でいいんです、教えてください!」
懇願するように言う。相当ショックを受けてるようだ。
「じゃあな、スティング。まずは・・・」
勘違いしているスティングを知っていてディクスは技を伝授した。見かけは真剣に教えているつもりが、心の中では独り爆笑していた。
とんでもない性格の持ち主である。