D.Force The First Chapter
Force-20
白い家でバカンスを
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一方、スティングはガイドブックを広げて今後のプランを立てていた。テラスに置かれていたロッキングチェアに身を落ち着かせ、思案している。 ―――― エレカーのレンタルしてこないといけませんね まずは移動方法だった。普通にホテルにでも泊まれば中心街のすぐそばだから問題はないのだが、今回の宿泊所は海に近い分、中心街から離れていた。リディアから輸入されたエレカーは素人でも大人なら誰でも運転できるように簡略化されたもののようだ。これならと目をつけていたのだ。 「それにしても・・・」 ――――― オーナーさん遅いですね・・・ そろそろ一時間ほど経つ。ディクスとナチは海を見に行ってしまったし、ガイドブックは隅々まで読んでしまっていた。暇な時間に、スティングはあくびが止まらなかった。 ・・・暑い・・・ 服を買いなおさなければと思う。仕方なく、中のシャツだけ脱ぐことにした。見た目は悪いが仕方が無い。 椅子から立ち上がると、まぶしいひさしの外を見た。 ・・・僕も行けばよかった・・・ つくづくそう思う。テラスの階段を降り、強い日差しの下に出たときだった。 「あの、もしかして予約された方ですか?」 唐突に後ろから声をかけられ、スティングは驚いて振り向いた。 「オーナーさん?」 声をかけたのは女だった。日焼けした健康的な肌に、つややかな黒髪。年はナチと変わらないくらいなのではないだろうか。 「はい、私、オーナーやってます、アリス・イーデルです。・・・すみません、遅れてしまって。エスティナ号で来られるとは思わなくて」 どうやら、もう一つの安い船でやってくると思ったらしい。エスティナ号はその船より何時間も早く到着したのだ。 「いえ、構いません。えーっと、この家ですよね。貸していただけるの」 スティングが白い家を指差す。 「はい、そうです。部屋はちゃんと定期的に掃除してあります。いつでもすぐに使える状態にしてあるから綺麗ですよ、安心してください」 にっこり笑って玄関に立つ。鍵で扉を開けた。 「部屋の構造は実際に見ていただければわかります。それで、お貸しする期限は決めてませんでしたよね」 「ええ、一週間くらいの滞在だとは思うんですけど、ちゃんと決めてなくて」 「わかりました。後に予約してる方もいませんし・・・好きなだけ借りてくださいね。では、ここにサインお願いします」 そう言って差し出された帳簿にサインする。 "ディクス・クロード" 「有難うございます。鍵をお渡ししますね。私は海岸沿いの青い家にいます。近いのですぐにわかると思います。何かあったら遠慮なく来てくださいね」 一通り説明すると、アリスは一礼して白い家を出た。 一人家に残ったスティングは家中の窓を開け放った。三人には十分に広い家だ。二階からは青い海が見える。風通しもよく、レースのカーテンがさらさらと音をたてていた。 「本当に良い所ですねー」 我ながらナイスな場所を選んだと自賛する。環境もいいし、食器や料理道具も一通り揃っているようだ。 ――――― ディクスも喜びますね 今度は納戸をあけてみる。つり道具一式揃っていた。 ナチも早速釣りできますねー。 嬉しそうに家の中を探索していた。その途中だ。 机とたんすの間に一冊の本が挟まっているのを見つけた。いや、本というよりノートといったほうがいいかもしれない。汚れ具合から大分古いものらしい。 「日記・・・?」 広げてみる。だが、読むことはできなかった。使っている文字が特有らしい。 この島の文字かな? 読むのをあきらめ、もとの場所に戻そうとしたときだ。一枚の紙切れが床に落ちる。 「これは・・・」 手に取って見てみる。それは古ぼけた写真だった。どうやら男女が二人並んでいる写真のようだが、くすんでて良く見えない。仕方なくノートにはさみ直し、元の場所に戻した。 「スティングーっ!」 外から声が聞え、部屋の窓から外をのぞく。家の庭にディクスとナチがいた。 「ディクス!ナチ!」 二階の窓からスティングが声をかける。気づいたナチが手を振った。 「本当によく手入れが行き届いてるわね。住みやすそう!」 家の中を見回したナチが嬉しそうに言う。台所や風呂場の手入れも行き届いており、満足そうだ。なのに、ディクスは疲れた顔をしている。服が妙にかさかさしているようだが・・・ 「ディクス、その服どうかしたんですか?」 スティングの質問にディクスは力なく笑った。 ・・・ナチの放った術に巻き込まれたんだよ 心の中で答える。腹いせにかけた海水がナチの目に入り、怒ったナチがディクスに海水たっぷりの竜巻をぶつけたのだった。おかげで目は回すわ、服は完全に濡れ、しかも既にかさかさになっていた。 「風呂に入ってくるよ」 白く塩がふいてきた黒い上着を脱ぎながらさっさと風呂場に行ってしまった。 「スティング、ディクスの用事が終わったら町に出るんでしょ」 ナチがテラスのある窓に背をもたれながら訊いた。 「ええ、そのつもりです。ただここから大分離れてて・・・ですから、エレカーでも借りようかって思ってます」 「エレカー?それってリディアのやつだよね。誰でも簡単に運転できるってパンフレットに書いてあった!」 「片道は我慢ですけどね」 そう言うと、スティングはふかふかのソファーに座った。ナチが振り返る。 「あー、でももうすぐ念願の魚釣りができるー!明日早速行かなきゃね」 魚を吊り上げる仕草をする。どうやら、釣りが一番の楽しみらしい。 「ここは何が釣れるんだろうね。できたらバーベキューみたいなこともできたら楽しいんだけど」 「いい考えですね!海でバーベキュー・・・多分、オーナーさんが貸してくれますよ。家のほかにも色々貸してくれるみたいですし・・・そうそう、スキューバーダイビングもできるって言ってました」 「スキューバーダイビングかぁ・・・魚と一緒に泳ぐのもいいよね。銛持って、でかい魚をぐさっと一撃で・・・」 食料ですか・・・!? 「ま、まあ、興味あったらやってみるといいですよ、せっかくですしね」 するとナチが声を上げ、思い出したように手をぽんとたたいた。 「そういや・・・わたし、水着持ってないんだけど・・・忘れてた!」 失敗したように言う。せっかく綺麗な海が目の前にあるというのに見てるだけではつまらない。当然泳ぐつもりだったのだが、肝心な水着の準備を忘れていたのだ。 「ですよね、せっかくの海なのに・・・僕も準備してなかったんですけど・・・」 「ディクスもね。まあ、町で安いやつでも調達しちゃえばいいかな?上着も欲しいし、ちょっと出費が重なっちゃうけど仕方ないもんね。せっかくだもん」 「それなら安心しろ!」 水を浴びてきたディクスが髪を乱暴に拭きながら自信たっぷりに言った。 「何かあるんですか?」 ナチもスティングもディクスの自信たっぷりぶりに心当たりがないようだ。ディクスは不敵な笑みを浮かべ、 「慰謝料だ」 そう答えた。 「そういうわけなんだ」 あれから二時間かけて中心街に向かった。一休みしようということで、三人がオープンテラスのある喫茶店で一息ついていた。 ディクスの慰謝料話を交えて。 「本当にちゃっかりしてるんだから」 ディクスの慰謝料のことを聞いたナチが文句を言うが、笑っている。 「でも、乗客を置いていくっていうのは、組合からしてみれば一番の失態でしょうから・・・仕方ないですよ」 珍しく肩を持つスティング。三人とも不満だったらしい。サーベルタイガーがいなかったら今頃どうなっていたかわからないのだ。 「じゃあ、ディクス、ここの勘定お願いね」 タイミングよく言ってナチは立ち上がった。 「じゃあ、僕も・・・」 続いてスティングも立ち上がる。 「あっ、おい!」 ひとりテーブルに残されたディクスは、しぶしぶ伝票を持ってレジに向かった。 店を出た後、まずはこの気候にあった服を買おうということでショッピング街を見回っていた。 「ゆったりしたシャツがいいですよね」 スティングが、数ある服の中から気に入った一着を探していた。商品が男性物だけということもあり、この店では暇なナチも一緒に探していた。 「スティング、背が高いもんね。サイズ的にはこれくらいかなー」 手にした上着をスティングの肩に合わせた。 「んー、ちょっと小さいかなぁ。ゆったり着るならもう少し大きい方がいいかもしれない」 「じゃあ、そのサイズの一つ上の服探します」 一方のディクスはどこにいったのか。見渡す限りではいないようだ。 「ディクス、どこに行ったんだろ」 スティングが一着決めた頃だった。相変わらずディクスの姿は見えない。 「試着してるのかもしれませんね」 「その通り!」 視線をめぐらせていた二人に急に声がかかる。 「ん?ディクス一体どこに・・・・」 振り返りながら言いかけ、やめた。同じく振り返ったスティングは目をまるくしている。 「スティング、服買ったのか?」 「え・・あ、ああ・・・一着決めたのはあるんですけど・・・」 途切れ途切れに答える。ナチはディクスをかなり奇異の目で見ていた。 「ディクス、何それ・・・」 あきれたように訊くナチにディクスは嬉しそうな顔をした。 「いやぁ、南国気分を味わってみようと思って」 「南国気分・・・?」 ディクスは南国気分を味わっているつもりのようだ。しかし、赤いハイビスカスの柄が所狭しとプリントされた服に短パン、サンダルに黄色がかったサングラスでは誰も納得してはくれないだろう。当然ナチもスティングも理解する余地などなかった。 絶対センスおかしい! そう思わざるを得ない状況だった。似合う人には似合うのだろう。だがディクスにはまるで似合ってなかった。それに気づいていない辺りがセンスなしといったところだ。 「ディスプレイにあったのをそのまま着てみたんだが・・・」 「・・・・」 「鏡そこにあるよな。まだちゃんと見てないんだけど・・・」 突然のディクスのナリにしばし思考停止していた二人が復帰する。鏡の前に立とうとしたディクスをあわてて制す。 「ん、ああ・・・えーと、こっちのほうがいいんじゃないかなー?ねえ、ディクス、ちょっとこっちに来てよ、サイズ確かめるから、ね?」 "術者は精神不安定"スティング言われたその一言が巡ったナチは、今回ばかりは何も言わずに見逃すことにした。本音を言ったらディクスは確実に泣くだろう。 「俺は別にこれでも・・・」 「こっちのほうが良いに決まってるわよ!上着脱いで!ねー、こっちのほうが断然かっこいいって、ねっ、スティング!」 ナチが妙な上着を慌てて脱がせ、新しいものを試着させた。スティングも力いっぱいうなずいている。 「あ、ほら、鏡見て。こっちのほうが良いでしょ?サングラスも・・・その色よりこっちのほうが良いと思うけどなー」 言うが早いが、かけていたサングラスをさっとはずし、別のサングラスをかけた。 「シックな色好きでしょ?だったらこっちのほうが・・・ねっ、スティング!」 また話を振る。スティングはやはり力強くうなずいた。 「本当か?」 ディクスはスティングの方に向き直った。普通より短めの袖に、胸のところが大きく開いた襟。先ほどのような派手な柄ではない、落ち着いた色合いのシャツ。どう考えてもさっきより良く見える。 「素敵です!」 力いっぱい断言する。 「そいじゃこれね!じゃあじゃあ、早速買ってくると良いわ」 ナチに急かされ、結局ナチに選ばれたシャツとサングラス、そして短パンにサンダル一式を購入した。 レジに並ぶディクスにナチがため息をつく。 「ちょっと焦った・・・」 ナチがぽつっとつぶやく。 「僕もです」 スティングもうなずく。 「まあ、こういうこともあるわよね・・・。スティング、わたしは自分で見てくるから、あとは水着とか必要なものあったらディクスと見てきて欲しいんだけど」 「そうですね。二時間あれば十分ですよね。ですから・・・五時ごろエレカーをレンタルしてる店で落ち合いましょう。いいですか?」 「オッケー!じゃあ、後はよろしくね!」 そう言ってナチは店を出た。 「ん、ナチは自分で買いに行ったのか」 買い物を済ませ、早速新しい服に着替えたディクスがスティングの隣にやってきた。 「ええ、服と水着を買ってくるとかって。僕もディクスみたいに着替えた方が涼しいですよね」 「ああ、そうしろよ。せっかくだしな」 炎天下の中、二人は新しく買った服を身につけて次に向かうべき店を検討していた。ちなみにスティングはTシャツの上にフードのついたパーカーをはおり、ハーフパンツにスニーカーといった格好をしていた。 「ディクスは海で泳がないんですか?」 「俺?泳ぐつもりはなかったんだが、今日海見て泳ぎたくなった。水着だろ?まさか服のまま泳ぐわけにもいかないしな」 「じゃあ、買いに行きましょうか」 行き先が決まったところで二人は店に向かった。 「急がなくっちゃーっ!」 荷物を抱え、一路エレカーレンタル店に向かうナチ。既に時計は五時を指している。道行く人に場所を尋ね、ようやく目的地にたどり着いた。 走ってくるナチに気づいたスティングが手を振る。 「ごめんねー!遅くなっちゃった!」 「大丈夫ですよ。それに今、ディクスが教習受けてる途中ですし」 「教習?」 「ええ、エレカーに乗るには一時間程度の教習が必要なんだそうです。僕もついさっき終わって、ディクスがもうすぐ出てくるはずですよ」 「そっかー、いきなりじゃ難しいよね。じゃあ、わたしが町に出たい時は、ディクスかスティングに頼めばいいのよね」 「ええ、そうしてください」 ナチは荷物を抱え、スティングの向かいの席に座った。重かったのか肩を回している。 「今日の夕ご飯どうするの?もう五時だけど・・・」 「ディクスが腕を振るうって張り切ってましたよ。ですから、食材を調達して家で作るんじゃないですか?」 「料理したがってたもんね」 それから間もなく、噂のディクスが教習を受け終え、帰ってきた。疲れた顔を見せ、テーブルに着いた。 「お疲れー」 「ああ、ナチ、戻ってきたか」 だるそうに首を回した。 「どうでした?」 「疲れた!便利は便利なんだが、やっぱリディアってのが・・・」 まだコンプレックスを持っているようだった。ディクスの不平を言う理由がわからないスティングは不思議そうな顔をした。 「歩いていくよりかは断然良いですよ。早速乗っていきましょう」 鍵を受け取り、エレカーに乗り込む。四人乗りのコンパクトカーで、ゴルフのキャディーカーによく似たものだった。スティングがハンドルを握り、スムースに走行し始めた。 「スティング、フード街な」 「了解です」 快速に進むエレカーはすぐに目的地に到着した。適当な場所にエレカーを駐車し、おりたった。 「よーっし!うまい夕食作ってやるからなー!」 やる気満々のディクスは豪語すると、足早に食材探しに集中し始めた。 「なんだか口出せそうにないね」 ナチが笑いながら言う。 「逆に怒られちゃいそうですよね」 「でもここで待ってても仕方ないし、わたしたちもとりあえず回ってみようか。食後の果物とかだったら買っても文句言われないよね」 「そうですね。珍しい果物も多いでしょうし」 「じゃあ、いこいこ!」 二人も珍しい果物探しに店に足を運んだ。 そして予想通り、見た事も無い果物が所狭しと並べられていた。 「何これ・・・?」 ナチが棘でいっぱいの食材を手にする。 「本当にこれ食べられるの?」 「とりあえずここに置いてありますから・・・おいしそうには見えないですよね」 そう言ったスティングはまた妙な形の果物を手にする。 「これなんかも。食べにくそうですよ」 「横に切ったら星の形。皮もむきにくそう」 珍しいものばかりで飽きることはなかった。しかし、おいしそうなものは見つからなかった。果物ばかりでなく魚の種類も豊富らしい。さまざまな色の魚が綺麗に並べられていた。 「こんな魚が釣れるのかな、この海」 目の前には毒々しい色の魚が並んでいる。見る限りではおいしそうには見えない。 「生け作りにでもしたら鮮やかでしょうね」 あまり想像したくないことを言うスティングだった。 「何見てるんだ?」 大量の食材をつめたダンボール箱を抱えたディクスがいつの間にか後ろに立っていた。スティングとナチの背後から台の上の魚をのぞくように見ている。 「そこの魚、美味いらしいぞ」 言って指した先は見事なブルーの大きな魚だった。はっきり言って食べたいと思えない魚だ。 「もう終わったの?」 「ああ、大量に買い込んだ!」 嬉しそうに答える。段ボール箱の中は見た事のない食材がてんこ盛りだった。 「ん?大丈夫だよ、俺の手にかかればどんな食材も見た目も味もおいしい料理になるから。それに、ここに売ってる食材、見た目はすごいが結構いけるみたいだぞ。栄養のバランスも良いらしいしな」 箱の中の食材に釘付けの二人にディクスがフォローする。しかし、見た目も大事な二人は心配そうな顔を見せた。 「でも、まあ、ディクスを信じて夕食つくりに帰りましょう」 「うん、そうだね。もう時間も結構経っちゃったし」 「よーし、帰るか!スティング、帰りも運転頼むな」 「わかりました」 再びエレカーに乗り込み白い家へと向かった。 そろそろ日も沈む頃だ。辺りもだんだんと夕焼け色に染まる。ナチはじゃんけんで割り当てられた部屋で荷物の整理をしていた。スティングが古いノートを見つけた、海の見える部屋だ。 ちなみにディクスはその隣の部屋、スティングは屋根裏部屋を割り当てられた。始めは文句を言っていたスティングだったが、屋根裏部屋のほうが景色もよく、天窓から夜空が見れる穴場であることがわかり、嬉しそうだった。 「これでよし・・・っと!」 身の回りを片付けを済ませたナチは階下に降りた。 「何か手伝うことない?」 食材を刻んでいたディクスが振り返る。 フリフリのレースが可愛い白いエプロンを着用していることを追記しておこう。ディクスいわく、快適に料理ができるならどんな格好でも構わないらしい。もちろんエプロンのデザインなど気にはしていなかった。 ――――― なんだか新妻みたい・・・ もちろん声には出さない。 「んー、今はない!適当に時間つぶしててくれよ」 早口で言うとまた刻み始めた。キッチンのテーブルで同じ動作を繰り返すスティングが目に入る。 ・・・何やってるんだろ? 近づいてのぞいてみる。 「あ、ナチ」 包丁とぎだった。ディクスに押し付けられたのだろう。スティングはディクスの所有する包丁の一本を丁寧に研いでいた。 「手伝おうか?」 「大丈夫ですよ、さっき始めたばっかりですし」 また断られてしまった。これで何もする事が無くなった。 ――――― どうしよう? ひとり考え込むが、いい案が浮かばない。目的は無いが、とりあえず外に出てみる事にした。 辺りはもう暗い。 ・・・明日は魚釣りだーっ! 一人ほくそ笑む。 ――――― バーベキュー用に大きな魚も釣らなくちゃねー 思い、ある事を思い出す。 ・・・そういや、バーベキュー用の道具借りないといけないってディクスが言ってたっけ・・・よしっ! 家に駆け込む。 「ねえ、わたし、ちょっとオーナーさんの家に行って来る!バーベキュー用の道具借りてくるね!」 それぞれの仕事をしている二人に声をかける。 「場所知ってるのかー?」 ディクスが振り向かずに訊いてきた。 「うん、スティングから聞いたから!アリス・イーデルさんよね!じゃあ、行ってきます!」 返事を待たずに一目散にかけていった。 「大丈夫でしょうか・・・?」 「大丈夫、俺の手にかかればどんな食材も・・・」 ――――― そうじゃなくて・・・ ディクスをジト目で見るスティングだった。 |