D.Force The Second Chapter
Force-23
アルヴィスの三つ子
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「そういうわけです。王子、ここ一週間ほどは他の従者を付けさせていただきたいのですが」 レイルの言葉にスティングが困った表情をする。 「申し訳ありません。私事ではありますが、私もデルタを離れなければならないのです」 ライアの言葉にスティングはますます困惑した表情を見せた。 「二人の代わりに別の従者がつくことは問題ないんだが・・・だが、来週は・・・」 言いかけたスティングにレイルはすまなそうな顔をした。 「私も予定が重ならぬよう尽くしたのですが・・・やはりどうしても避けられませんでした。ブルーフォースの航行テストも兼ねて、デルタの視察に訪れるということです」 「レイルのせいじゃないよ。大丈夫、僕がしっかりしていれば何も問題は・・・」 すると、どこからかライアが箱を取り出した。そこには見慣れた紋章が刻まれている。 スティングに緊張が走った。 「あの、王子。これですが・・・」 ライアが手渡した木箱。三日前にも渡されたような気がする。 「速達だそうです」 「あ、有難う・・・」 頑丈な木箱を受け取ると、中を確認せずに机の中に入れた。机の中には同じ木箱がたくさん並べられていた。クローゼットの中にもダース単位で収められた箱がいくつかある。 「でも、どちらもいないのは痛いな・・・。いつも二人には助けてもらっているから」 「王子、頑張ってください。従者は頼れるものを付けます。彼らにしっかりとサポートをするよう言い聞かせておきますので・・・」 しかし、レイルの言葉もむなしかった。レイルやライア以上に、"彼ら"の行動パターンを良く知り、"彼ら"に有効な人材がいるだろうか? 「―――――― わかった・・・僕も頑張るから、二人も頑張ってくれ・・・」 二人に迷惑をかけることは出来ない。スティングは覚悟を決めることしか出来なかった。 用事を終えた二人が部屋を出る。一人になったスティングは先ほど渡された木箱を机から取り出すと、中に入っていた数枚にわたる手紙を取り出した。 手紙に振りかけられたバラの香水の匂いがまとわりつく。毎度のことだが、この匂いには慣れることは無かった。 カサカサッ 手紙を広げ、文章を読む。 ――――――― 愛するスティング様へ 思わず手紙をたたんでしまった。毎回同じ書き出しで始まる手紙は今回も例外が無いようだ。 気を取り直して再び手紙を読み始めた。 『ブルーフォースに乗ってそちらに視察することが決まりました。 お会いするのは一年ぶりですね。胸がときめいて一睡も出来ません。 お会いしましたら夜が明けるまでお話しましょう』 以下、文章が続くが、スティングの頭にはあまり入っていないようだ。とりあえず全ての手紙に目を通すと、スティングは木箱に再び入れなおし、机の中にしまった。 「はあ・・・」 彼らに会うのは一年ぶりだ。それ以前は結構交流があったのだが、皆大人になり時間が取れることが少なくなったのだ。しかし、今回はデルタに視察という形でやってくる。 彼ら三人には、エンドレスの四兄弟全員が振り回されている。エリオスが特に激しく、彼らの名前を聞いただけで鳥肌が立つくらいだ。 ・・・・・・エリオスには黙っておこう・・・また何か文句言われそうだから・・・ エリオスに視察のことを話せばきっと怒り出すだろう。 お前が飛空挺なんか作るから、あいつらがくるんだろうがっ!・・・と。 問題の日まで、カウントダウンは確実にすすんでいた。 そして、夜。アルバートの部屋にスティングとフィオールがいた。もちろんこの場にエリオスはいない。 三人で深刻そうな顔をしている。 「二人とも頑張ってね。私は用事があってちょうどその前日から数日あけることになっているの」 「そっちのほうがいいかと思います、姉上・・・」 「うーん・・・私もデルタにはいるが、ここのところ会議が多くてね。恐らく彼らに会う暇もないだろう」 「あ、兄上もですか・・・?」 兄と姉の言葉にスティングが呆然とする。 彼らも用事があるとするならば標的はスティング一人しかいない。 「スティング、頑張るのよ!でも、あの子達も立派な女性なんだから手荒に扱っちゃ駄目よ。・・・あまりやさしくしても良くないかもしれないけど・・・」 「攻略パターンはわかってるだろう?レイルとライアに協力してもらえばなんとかなるんじゃないか?」 しかし、アルバートの言葉にスティングが顔を曇らせる。 「その二人もいないんです・・・」 「・・・・。」 「・・・・・・・・。」 しばらくの沈黙。フォローのしようが無かった。 「スティング、外交だと思ってまっとうするんだ。これから一国家を担うものとしてこれくらいのことをこなせなくてどうする!」 「そ、そうなんですけど・・・」 「スティング、あなたももう大人なのよ。嫌な事はちゃんと断りなさいね。でないと彼女達もっとあなたの事追い掛け回すわ」 「は、はい・・・」 もうっ、追い掛け回されること決・定!! 心の中でスティングは号泣したのだった。 ごぉぉぉぉ・・・ ブルーフォースの離陸の轟音が響き渡る。デルタに戻ってくる時、ブルーフォースは彼らを乗せて帰ってくるだろう。 それも今日中に。 「・・・・・・・・・・」 スティングは離陸の様子を一人眺めていた。 いつだったか、眠そうなディクスがこの発着所を壊してやるなどとつぶやいていたことがあったが、まさにスティングが今そんな気分だ。 レイルとライアはもういない。十時になればスティングの部屋に臨時の従者がやってくるだろう。 「帰ろう・・・こうしていても仕方ない・・・」 とぼとぼと離着陸場をあとにしたのだった。 そして、自室の前にやってきた時だ。 ・・・・・・・あれ・・・? 部屋の中で声がした。しかも二人いるようだ。男女の声・・・もしかして・・・ レイルとライア!! スティングの表情がぱぁっと明るくなる。 やっぱり彼らは僕の大事な従者だ!僕のことを一番に考えて戻ってきてくれた・・・!! ばんっ 「レイル!ライア!」 急に元気になったスティングはドアを思い切り開け、彼らの名前を呼んだ。 「えっ・・・?」 ・・・が、そこにいたのは―――――――― 「あ、やっと来たな。どこ行ってたんだよ」 「お帰り〜!ごめんね勝手に部屋入らせてもらっちゃった」 ダークグリーンの制服は同じだ。しかし、それを着ていたのは・・・ 「ディクス・・・ナチ!?」 なぜか制服を着ているディクスとナチだった。彼らが部屋にやってくるとは聞いていない。しかも何故制服を着ているのか・・・? 「どうしたんですか?その制服・・・」 「レイルさんから従者の仕事をやってみないかって言われたの。仕事料も良かったし、スティングの従者ならってことで受けたのよね、ディクス」 「ああ、困ってるみたいだったし。少しでも稼いでおきたいからな」 ディクスが腕を組みながらうんうんうなずく。 「前々からレイルさんたちが着てる制服ってかっこいいなーって思ってたけど、なんかこう気持ちが引き締まるわよね。初めてこういう制服着るんだけど」 「意外に動きやすいんだな。軽いし、丈夫だし。さすがエンドレス。金のかけ方が違うな」 「えっえっ・・・じゃあ、臨時の従者というのはディクスとナチですか!?」 スティングが素っ頓狂な声を上げる。 「悪かったな!・・・でも、仕事の内容はスティングのそばにつくことだけだったぞ?俺たちでも足る仕事だろう?」 「そ、そうですけど・・・でも、無事にはすまないと思いますよ・・・」 急に声のトーンが低くなったスティングに二人が顔を見合わせる。 「そういえば一緒にいたライアさんもなんか気まずそうな顔してたわよね。ちょっと気になったんだけど・・・スティング、それも関係あるの?」 「大ありです!・・・多分」 大きな声で答えたが、気まずく思ったのか慌てて顔を背けた。 ・・・・・・でも、ディクスとナチなら彼らと対等に渡り合えるかもしれない・・・ 「ま、俺たちだって伊達に生きてきたわけじゃないし・・・スティングしばらくの間お前につかせてもらうよ。仕事だからな」 「その言葉、僕忘れませんよ・・・」 「・・・?」 何故か恨めしそうに言ったスティングに疑問を抱くが、あえて聞かないことにした。 「スティング、わたし達は何をすればいいの?」 「僕の近くにいてくれればそれでいいですよ。今日夕方にでも視察団がやってきます。数日はその応対に務めなければならないのでディクスやナチもよろしくお願いしますね」 「わかった」 「オッケーよ!がんばるね!」 二人がつくことで少しは気が和らいだような感じもしたが・・・だが、何か起きるような予感はどうしてもぬぐうことは出来なかった。 あれは、八歳の時だっただろうか。 危うく唇を奪われそうになったことがあった。ちなみにその後四回未遂事件がおきている。 その事を思い出し、スティングは思わず唇に手を当てていた。よく見れば鳥肌も立っている。 スティングが一時期ぐれていた時も、彼らは相変わらずのマイペースだった。己の欲求を満たすためなら相手の迷惑など顧みない。恐ろしい性格の持ち主なのだ。 ―――――――― 僕、今度こそ駄目かも・・・ がっくりとうなだれたスティングに、ディクスとナチは不思議そうに顔を見合わせたのだった。 デルタにある飛空挺ブルーフォースの離着陸基地、エントランスブルー。 轟音と共に、アスファルトに巨大な機体が着陸した。着陸を無事終えると、機体のエンジン音はやがて止まり、あたりは元の静けさを取り戻した・・・はずだった。 「シャーリーン!見て!ようやくデルタに着いたわ!!」 黄色い声が上がる。ブルーフォースの窓からべったりと張り付くようにして外をうかがっている。その隙間から見るようによく似た顔のシャーリーンと呼ばれた女性が顔をのぞかせる。 「まあ、本当ですわ。あそこに見える宮殿が愛しいスティング様のお屋敷ですわね!エルト、あなたも御覧なさいな」 呼ばれた男性はうんざりとした様子で首を振った。相当疲れているようだ。 「ネイシャン、エルトはどうやら疲れているようよ」 「いつものことだわ。気にすることではありません。それより!早くスティング様の胸に抱かれて二人のランデヴーを楽しみたいわぁ〜!」 両頬に手を当て、ネイシャンはうっとり顔で上の空。しかしそんな彼女にネイシャンが不服そうな顔をした。 「ずるいですわ!ネイシャンばかり!スティング様をわたくしにも分けてくださいな」 「あなたにはエリオス様がいるじゃないの。私にはスティング様よ、ああ、早くお会いしたい・・・」 完全に自分の世界に浸っているようだ。 「・・・・・・あの、まだ降りれないんですか?」 「エルト様!もうすぐでございます。もうしばらくお待ちくださいませ」 二人のそばを離れた彼は、すぐ近くの乗務員に訊いたが、残念な答えにがっくりと肩を落とした。 「エルトシャン!スティング様を先取りしようとしたってそうは行きません!」 そんな彼、エルトシャンに気づいたネイシャンがびしっと指を突きつけると甲高い声で宣言した。 ――――――― 一応、男なんだけど・・・ 完全にペースに飲まれているエルトシャンは、泣く泣く自分のシートに戻ったのだった。 「スティング様!」 ばんっ ディクスとナチがいるスティングの部屋に使いのものが慌ててやってきた。 スティングを除く二人はその様子に驚いた表情をしている。 「――――――― 来たんですね・・・」 スティングの顔がこわばる。スティングと使いの者の間に緊張が生まれる。 「・・・はい。ただちに広間にお集まりください」 そういうとスティングは静かに立ち上がる。つられて二人も立ち上がる。 「お二方、どんな困難があろうとも、スティング様をお守りください」 部屋を出る途中、使いが二人に神妙な顔で言う。 「あ・・・はい・・・」 この緊張の意味が分からないディクスとナチは、納得がいかないまま、スティングの後に続いたのだった。 応接間に続く扉の前で執事が緊張した面持ちでスティングに耳打ちした。 スティングは大きくため息をつき、ディクスとナチの方を向く。 「ディクス、ナチ。これから僕は襲われると思います。僕も精一杯努力はしますが・・・サポートよろしくお願いします」 「えっ・・・襲われるって・・・スティング、広間に行くんじゃないのか?」 状況が分からない二人がさらに追い討ちがかかる。 再びスティングが扉を向く。うなずくと執事があわせて大きな扉を開けた。 広間というよりは広すぎる応接間。細かい装飾のなされた絨毯に、見るからに高そうなテーブル。これも細かい装飾が特徴的だ。壁にも金縁の大きな絵が飾られている。 そこでテーブルを囲むようにして座っている三人がいた。緑がかった髪が特徴的だ。 一目見てそれがエンドレスの人間ではないことが分かる。 ―――――― あの髪の色は確か・・・ 三人を見てディクスが思い巡らせた時だ。 がたんっ そのうちの一人がスティングたちが入ってきたのを認めると、椅子が後ろに倒れたのも気にせず勢いよく立ち上がった。 何事かとディクスとナチはスティングを見た。いきなり立ち上がった女性は感無量とでも言うような表情をスティングに向けていた。スティングの足に自然と力が入る。 彼女は頬を赤らめ、ほぅ・・・っと小さく息をついた。 「ああっ!スティング様っっ!!」 言った彼女の姿が消えた! 『えっ!?』 様子を見ていたディクスとナチが声を上げる。 しかし、スティングだけは違った。彼だけに感じる殺気にも似た気にスティングは後ろを向き、術を発動した! 「我を取り巻く風よ!」 ヴォンッ 「くっ・・・やりますわね!」 目の前にいたはずの彼女がディクスとナチの後ろにいる。スティングは気を察し、とっさに壁を作り、身を守ったのだ。 スティングは彼女の手を取った。 「――――― お久しぶりです。ネイシャン王女」 スティングは明らかにひきつった表情で無理やり笑みを作り、微笑みかけた。 ネイシャンの手・・・というより、手首を取ったスティングは抱きつかれまいと両手でしっかりと握ってその場に固定した。 彼女の手を自由にしていたら危険度が高まるのだ。 「まあ、スティング様ったら。相変わらず恥ずかしがりやさんなのね」 手首をぎゅっと握られている理由を理解していないネイシャンがうっとりとした顔でスティングを見る。 「お久しぶりですわ、スティング様」 「お久しぶりです、スティング王子」 まだテーブルに座っていたほかの二人が彼らに近づく。彼らはとんでもない行動にでたネイシャンをいさめるわけでもなく、スティングに丁寧に挨拶をした。 よく見れば三人はよく似ていた。特にネイシャンとシャーリーンは瓜二つだ。エルトシャンはどことなく影があるような雰囲気をかもし出している。 ひと目で彼女達二人に尻にしかれていると見抜いたディクスとナチだった。 「久しぶりですね、シャーリーン王女、エルトシャン王子」 まだネイシャンの手首を握ったままのスティングは、その体勢のままぎこちなく首を彼らに回した。 「ネイシャン、少しは落ち着いたらどうかしら?これから数日デルタに滞在するのだからスティング様との逢い引きはもう少し我慢なさいな」 にっこり笑ってシャーリーンが言う。 「逢い引き・・・?」 ディクスとナチの視線が痛かった。 「三人とも長旅でお疲れでしょう。部屋を用意してあります。夕食の時間までそこでお休みになってください」 やはりまだ手首をつかんだままでスティングが言う。 「では、私はスティング様と共に愛を語らい・・・」 「エルトシャン王子、ネイシャン王女を頼みます」 手首をつかんだまま、場所を入れ替えると、スティングはエルトシャンに彼女を引き渡した。 「毎度・・・本当に申し訳ありません」 スティングの代わりに今度はエルトシャンが彼女の手首をつかみ、自由を奪う。 「エルト!手を放しなさい!私には大事な予定が・・・」 言いかけた彼女の目が急に閉じ、その場にうずくまった。 「ありがとう、シャーリーン」 眠り込んでしまったネイシャンを抱きかかえたエルトシャンが礼を言う。 「ネイシャンにスティング様を取られたくなかっただけですわ。わたくしはネイシャンのように強引なことはいたしませんの」 そう言って両手を広げ、抱きつこうとしたシャーリーンの肩が伸ばしたスティングの手で押さえつけられる。 スティングの腕のほうが長い分、シャーリーンが腕を伸ばしても彼には届かない。 「冗談ですわ、スティング様」 愛らしく笑ってみせる。 ――――――― 本気だ・・・ スティングに緊張が走る。 「では、わたくしがご案内いたしましょう。こちらでございます」 扉の前に立っていた執事が三人を用意した部屋に連れて行った。 「それではスティング王子、後ほど」 「スティング様、お夕食楽しみにしてますわ」 スティングに笑みを浮かべ、小さく礼をした後、ディクスのほうへ意味深な視線を送ってから部屋を出た。 ――――― ? ようやく静かになった応接室。スティングは一人大きくため息をついたのだった。 今までの経過をただただ圧倒され眺めているだけのディクスとナチ。ようやく我に返り、スティングに詰め寄った。 「スティング!逢い引きって、もしかしてネイシャン王女とか言う人はスティングのフィアンセ!?」 「お前、奥手そうな顔してこれがいたのか!?」 言ってディクスが手の甲を向け、中指を立てる。 「ディクス、立てるならこうです・・・」 間違っているディクスにスティングは小指を立てた。 「ええっ!?やっぱりそうだったんだ!どこの王女様!?っていうか、あの三人なんか顔似てなかった?」 「そういや、似てたな。性格は全然違うみたいだけど。髪が緑がかっていたからアルヴィスかそこら辺の王族かと思うんだが」 「―――――――― ええ、彼らはエンドレスに親交のある国、アルヴィス国の三つ子です・・・第一子ネイシャン、第二子シャーリーン、そして王位継承権を持つ第三子エルトシャン」 そこで大きくため息をついた。 「僕らの天敵です・・・・・・」 「天敵ってお前・・・親交のある国って言ったじゃないか」 ディクスにスティングがふっと笑った。 「でも、僕たち兄弟にとっては死活問題なんです。特にエリオスなんて・・・」 そしてスティングは目頭を押さえた。 ・・・・・・・何があったんだろう・・・!? 「ともかく、僕らは彼らと過ごさなければなりません。エルトシャンは話の分かる普通の人です。でもあの二人・・・特にネイシャン王女には注意が必要です。アルヴィスはシルバーヒールを紋章のモデルにしているくらい慕っています。そのせいか、アルヴィス国は補助系の術には非常に長けた術者が多いんです」 ――――― ネイシャン王女とシャーリーン王女が使ってた術か・・・ネイシャン王女のほうはスレイドの術に似てたな・・・ 「わたしすごくびっくりした。だっていきなり消えちゃうんだもん!でもスティング良くかわしたわねー」 「いつものパターンですから」 力なく笑う。 「攻撃はともかく、補助系の術は非常に厄介です。もしかしたらディクスやナチにも被害が及ぶかもしれません。気をつけてください」 被害っ!? 何故ライアが気まずそうな顔をしたのか今理解できたような気がした。ライアやレイルもスティングの従者に抜擢されてしまったがために巻き添えを食っていたのだろう。 「ディクス・・・どうしよう・・・?」 「やるしか・・・ないだろ?」 スティングのうなだれる姿を見て、ディクスは覚悟するしかないと心に決めたのだった。 |