D.Force The Third Chapter
Force-13

暗い影の理由


冷たい雨が降っていた。
冷めた露に濡れる庭園を横目に、スティングはフィオールの部屋へを足を進めていた。
――――――― 話ってなんだろう?
フィオールから直接ではない。彼女の従者のイリアスからの言伝で今部屋へと向かっているのだ。普段ならどんな些細な話でもわざわざやって来るというのに。
なんとなく不安に感じ、そんな感情が足の進みをさらに速くしていた。そんな時だ。
「スティング、お前も呼ばれたのか」
突然横から声がかかる。目を向ければエリオスがいた。
「姉上の所だろう?」
訊かれるとスティングはうなずいた。
「エリオス、理由知っているのか?」
「いや、私も知らないんだ。普段なら用事があれば姉上のほうから来るのだが・・・何故だか不安に感じてな」
エリオスも同じ事を思っていたらしく、珍しく胸中を口にした。
「実は僕も同じなんだ。まさかイリアスが来るなんて。そっちのほうが面食らってしまったよ」
苦笑する。
「・・・・・・行こう。姉上を待たせるわけにも行かない」
エリオスが言い、そして二人はフィオールのいる棟へと足を踏み入れた。


「まぁ、二人で一緒に来てくれるなんて。嬉しいわ!」
招かれて入ったフィオールの部屋は甘い香りで一杯だった。部屋の中央にある丸いテーブルにはフィオールの手作りと思われる菓子が並べられている。エリオスの好きなオレンジケーキもちゃんと用意されていた。
さらに棚には甘い香りを放つ花が生けてあった。
不安そうな表情のスティングとエリオスとは裏腹にフィオールはいつもの屈託のない笑みで迎え入れたのだった。
「今日は残念ね。本当はテラスでお茶を楽しみたかったのだけれど。さあ、そんなところに立ってないでこっちに来て座って頂戴」
フィオールに勧められ、二人はようやくテーブルに着く。
フィオールが部屋の端で控えていたイリアスに目配せすると、彼女は軽く礼をし、そして部屋を出た。
「姉上、話とはなんですか?」
スティングが尋ねる。するとフィオールの表情に一瞬のかげりが射した。
変化に気づいたスティングとエリオスが顔を見合わせる。
「ええ、ちゃんと話すわ・・・。でも、その前にこのお菓子食べて頂戴。貴方たちにってそれぞれ好きなものたくさん作ったのよ」
再び笑みを浮かべ、嬉しそうに白いカップに紅茶を注ぐ。
白い、甘い湯気が立ち上る。
納得がいかないものの、スティングとエリオスは目の前に菓子を口に運んだ。
――――――― ディクスの作るお菓子も美味しいけど、でも、姉上のお菓子も負けないくらい美味しい・・・
そう、スティングだけではなくエリオスまでもそう思う。
この宮殿で菓子を作るのは王宮専属のパティシエかディクスかフィオールくらいしかいないのだ。
特にフィオールはスティングとエリオスの好みを熟知している。その辺をついた菓子を作らせればディクスなど足元に及ばないのかもしれない。
・・・・・・そんな事をディクスに言えば対抗心を燃やし、スティングを一日厨房に縛りつけ、彼の嗜好を知ろうと躍起になるだろう。
フィオールもケーキを口にしている。スティングとエリオスを見てまぶしそうな表情をしていた。
「姉上、話とはなんでしょう?」
もう一度、今度はエリオスが訊いた。
かちゃん
フィオールは手に持っていたカップを受け皿に戻す。そしてうつむき加減に顔をそらした。
「・・・・・・ええ、その事なのだけれど・・・」
訪れた緊張感にスティングもエリオスもただならぬものを感じ、息を飲む。
フィオールの笑みしか知らない二人にとって彼女の暗い表情は何か重大な話を切り出そうとしている前兆であることが容易に伺えた。
「北エンドレスに広い領土を持つラスカー家の事は知っているでしょう?」
問いに二人はうなずいた。
ラスカーとは北エンドレスで一番広い領土を統括する貴族のことだ。その歴史は古く、王族からの信頼も厚い。
「ラスカー家に長男がいるのだけれど・・・その方と縁談の話があって・・・」
やや音量を抑えて言ったフィオールにスティングもエリオスも驚きの表情を隠せない。そんな縁談の話など今まで一切耳にしたことがなかったのだ。
「ずいぶん前からそのお話があったの。その頃は私もまだ若かったから、縁談なんてって思っていたのだけれど・・・でも、もうそろそろ時期が来たのかしらって思って・・・」
「姉上、その話をお受けになるのですか?」
スティングが不安そうに尋ねる。
―――――― ええ、そのつもりよ。ラスカー家なら私も申し分がないと思っているの。それに、縁談相手のコミューンもとても良い方なのよ。私が来たエンドレスを訪れた際にはいつも暖かく迎え入れてくださるし、彼のお父様やお母様とも何度もお会いしたわ」
本当は喜ばしい話のはずなのに何故フィオールの表情は暗いのか・・・それが二人には気がかりでしょうがなかった。
「私も彼のことを愛してるし、彼も私のことを愛してるって言ってくださったわ。でも・・・」
悲しそうに目を閉じる。
「姉上?」
エリオスが心配そうに声をかける。
「デルタを離れなければならないと思うと、それが悲しくて・・・」
そうつぶやくように言った。
「貴方達二人はもちろん、兄上にも滅多に会えなくなるわ。父上にもお会いできなくなる・・・たくさん思い出の詰まったこの宮殿を離れるのにどうしても踏み切れなくて」
生まれてからずっと宮殿を離れることなくこの地で育ってきたフィオール。それが当たり前だと思っていたし、これからもずっとそうなのだと思ってきた。
変わる事のないこの地で兄弟たちと一緒に楽しく過ごしていくのだとそう確信していた。
けれど、ラスカー家へ嫁げば北エンドレスへ行かなければならない。それはフィオールの今までの確信を崩すほか何物でもないのだ。
「私・・・あちらでちゃんとやっていけるかどうか・・・不安で・・・でも、兄上には言えなくて・・・どうしてかしら、貴方たちにもこんな弱音を吐くつもりじゃなかったのに・・・」
わずかに声が震えている。
スティングにある光景が思い出される。あれはエリオスにセカンダリのシルバーヒールを預けた直後だったはずだ。
その時フィオールはスティングに悲しそうに"決まったらその時はちゃんと話す"と、意味深な言葉を残して去って行った事があったのだ。
あの時は何があったのかと心配したのだが、その後のフィオールの様子がいつもと変わらないのに今の今まですっかり忘れていたのだ。今考えれば恐らくその台詞の"その時"とはまさに今なのではないかと推測した。
――――――― 姉上は縁談を受けるべきがずっと悩んでいたんだ・・・
人知れず悩んでいたフィオールにスティングの胸が痛む。そして何の力になれなかった自分を悔やんだ。
「姉上、安心してください。たとえ姉上がどんなに遠くへ行こうとも必ずすぐに飛んで駆けつけます」
スティングがそう言った。
「私もです。姉上が少しでも寂しく感じたらいつ何時でも。そのためにスティングのブルーフォースだってあるんですから。姉上が弱気だと私たちだって不安に感じます」
今度はエリオスが。
フィオールはやや赤くなった目を向ける。
いつもは幼く見えるはずの二人がやけに大人びて見える。
「デルタもいつまでも変わらないわけじゃありません。姉上が北エンドレスへ嫁ぐというのなら僕たちそれまで姉上に今まで以上の素敵な思い出を作ってもらうために頑張りますよ。な、エリオス」
「スティングの言うとおりです。北エンドレスもとても住みやすい場所ですし、コミューン氏なら私も存じております。彼なら姉上をきっと幸せにしてくれますよ」
――――― ええ、有難う・・・」
口元に笑みが浮かぶ。
やっと笑ったフィオールに二人とも安堵する。だが、姉が結婚するという衝撃的な事実は二人の心にまだ余韻を残していた。
「スティングとエリオスのような素敵な弟を持てて幸せだわ」
笑いかける。
「姉上、その縁談ですけど・・・式の日とかはもう決まってるんですか・・・?」
すまなそうに訊いたスティング。エリオスがそんなことを訊くなというようにスティングの腕を小突いた。
「いいえ、正式には。色々準備もあるし、それがひと段落してから・・・かしら。けれど、少しでも慣れておこうと思って短期間北エンドレスに行こうかと思っているの。・・・まだ時間はあるけれど、貴方たちにもちゃんとコミューンを紹介するわね」
すると立ち上がり、近くの小さな箱から紙を取り出した。
それを二人に手渡す。
「写真に写っている方がコミューンよ」
写真にはフィオールとあと一人、男が写っていた。
「・・・・・・」
エリオスはその写真をちょっと見ただけだったが、コミューンという男を知らないスティングはその写真の男を凝視した。
背は高いらしい。この写真からすると自分と同じか少し上か。年は二十五くらいだろうか。金髪・・・ではあるが、ディクスやナチのように明るいものではなく、落ち着いた感じの色。目はエメラルドグリーンで薄い唇は上品そうな笑みがこぼれていた。
――――――― はっきり言ってかっこいい
さらに身分も高いなら申し分ないだろう。ほぼ確定だろうが、これが新しい義兄なのかと、まじまじと写真を眺めた。
スティングが食い入るように写真を見ているのに気づき、フィオールは笑った。
「スティング、そんなに見つめなくても。エリオスは彼を知っているようだけれど、スティングには早く紹介したほうが良さそうね」
コミューンを疑って見ているのだと思ったフィオールはそう口にした。
フィオールに言われようやく自分の行いに気づいたスティングは恥ずかしそうに写真を戻したのだった。
「あ、いえ・・・兄になる人がどんな人かなってすごく興味に思ったので・・・」
隣でエリオスのため息が聞こえた。写真を凝視していたスティングの王族らしくない振る舞いに呆れているのだろう。
「ふふ。貴方達にもっと早く話していれば良かったわね。さあ、手が止まっているわ。お菓子はまだこんなに残っているのよ。どんどん食べて」
心のわだかまりが消えたのか、フィオールはいつものように笑みを浮かべて振舞った。
「イリアス!貴方も入ってきて頂戴!」
部屋の外に向けて大きな声を上げる。
すると外で待機していたのか、イリアスが礼をして入ってきた。
「ごめんなさいね、邪険にしてしまって」
「いえ、そんなことは・・・」
「さあ、貴方もこっちに座って。食べ盛りの男の子が二人いても食べ切れそうにないわ」
「しかし、私は・・・」
「遠慮しないで。貴方にはいつも迷惑をかけているのだから。ね?」
そう言われイリアスは席に着く。自分の目の前にはスティングとエリオスが。言い換えると次期王位継承の第一候補者と第二候補者だ。
場違いだと感じているイリアスはややぎこちない。しかし勧められ、ありがたくフィオールの作った菓子を口にした。
雨はやみ、暗い雲の切れ間からうっすらと光の筋が見えていた。
やや暗かった彼らの心にようやくいつもの穏やかな午後がやってきたのだった。


雨上がりの庭園をスティングとエリオスが並んで歩いていた。残念ながら彼らのほかに誰も見受けられないが、見る人が見れば二人が並んで歩いている様は非常に稀有な光景である。
「結婚・・・か」
つぶやいたスティングに隣を歩くエリオスが反応する。
「興味があるのか?」
「興味があるも何も・・・僕だってエリオスだっていずれはそうなるだろう?多分拒否したとしても周りが許さないよ」
「まあ・・・確かに。特にお前は王位を継ぐものだからな。父上のように何人か側室がつくかもしれないな」
言ったエリオスにスティングは怪訝そうな顔をした。
「父上がそうだとしても僕は断固としてそんなことはしないよ。それに継承候補は僕だけじゃない。エリオスだってそうじゃないか。もしかしたらエリオスに側室が・・・なんてことがあるかもしれない」
「私は本妻以外にめとるつもりはない」
きっぱり言った。
互いにそういうが、もちろん側室がつくという可能性はどちらにもある。それももう遠い未来の話ではないのだ。
「まあ、父上の即位は早かったからな。確か二十くらいだと」
「僕たちが生まれる前にお爺様が亡くなって父上が即位した。まだ若かったけど、国のために結婚を余儀なくされて、僕の母上が・・・そしてエリオスや兄上の母上が即室に・・・」
「しかし今の国王はあと二十年は大丈夫だろう。私たちの結婚が強要されるのはまだまだ先だよ。なにより兄上がまだ何の話も無いじゃないか」
「そう言えば・・・。兄上もそろそろ結婚適齢期だと思うんだけど。兄上は結婚されないんだろうか・・・?」
何故か二人で悩む。
もしアルバートが結婚するならどんな相手だろうかと頭の中で想像する。
「兄上はしっかりものだから恐らく意中の人はいるんだろうけど・・・どんな人かなぁ」
「意中か・・・スティング、お前はいないのか?」
「はっ?」
いきなり話しをふられ、きょとんとした表情を見せた。
「お前の事だから、気づいたら周りには誰もいなくて仕方なく大臣達の決定に従うしかないっていう展開になりそうな気がするんだが」
エリオスに目を向ければ、ものすごく真剣な表情だ。冗談ではないらしい。
――――――― 余計なお世話だよ・・・
ずばっと痛いところを突かれたスティングがむっとする。だがスティング自身もそう感じているらしい。
「エリオスはどうなんだ?人の事ばかり・・・」
「私か?そうだな・・・」
心当たりがあるのが、目を閉じて考え込み・・・そして沈黙してしまった。
・・・ま、まさか・・・エリオスに・・・!?
いないだろうと高をくくっていたスティングは一人で衝撃を受けた。もしそうならばスティングが一人出遅れる可能性はさらに高くなる。というか、絶対出遅れるだろう。
「エリオス、誰なんだ・・・?」
恐る恐る訊いてみるが答えてはくれなかった。
エリオスの知っていそうな女性を思い浮かべてみようとするが、残念ながらスティングにはそのような予備知識はなかった。
「もし、スティングの花嫁候補があがるとしたら・・・やっぱりあの人物しかいないか・・・」
自分の事はうやむやにしたままで腕を組んで考え込んだエリオスはそう言った。
「あの人物?」
聞き返すとエリオスは神妙な面持ちでうなずいた。
心当たりのないスティングはその人物が誰なのかさっぱり見当もつかない。
「もし私がその立場なら意地でも別の女性を探すが・・・」
難しそうな表情のエリオスにスティングは怪訝そうな顔をした。
「エリオス、その人物って誰なんだ?」
「ネイシャンしかいないだろう?」
スティングに向けられる哀れんだ瞳のエリオスがやけに印象的だった。
―――――― そういえば、シャーリーンはもう縁談が決まってたんだっけ・・・だとすると・・・ネイシャン・・・!?
スティングの脳が活動停止する。はっきり言って最悪のパターンだ。
「哀れだな、スティング・・・」
哀れみを含んだ言い方だが、その口元は笑っていた。
―――― ふふっ・・・だとするとエリオスはネイシャンの"弟"になるわけだね」
ショック状態のスティングは不敵な笑みを浮かべそういった。今度はエリオスが固まる。
「そ、それは・・・」
「それにネイシャンのほうがこっちに嫁いでくるわけだからエリオスが嫌でも顔を合わせることが多くなるってことだよね。ネイシャンのことだからきっとエリオスのことも追い掛け回すだろうし。あ、もちろん僕は止めないけどね」
今までのお返しとばかりに言い返す。だがもちろんネイシャンとの結婚なんて微塵も考えていない。
彼女と結婚したら一番被害をこうむるのはエリオスではなくスティング本人なのだ。前回デルタに視察に来たときのようなトラブルが毎日のように勃発するだろう。
「スティング・・・私はお前を信じてるからな」
スティングの何を信じているのか知らないが、緊張した面持ちでエリオスはそういった。
その真剣な眼差しにスティングも思わず縦に首を下ろした。


「フィオール様。決心されたのですか?」
二人きりになった部屋でイリアスが問う。すると窓の外を見ていたフィオールは口元に笑みを浮かべ小さくうなずいた。
「ええ、決心がついたわ。あの子達のおかげね」
再び窓の外に目を向ける。その先にはなにやら立ち止まって言い合っているスティングとエリオスの姿があった。
「心配だったの。デルタを離れたくないって言うのも事実だけれど、でも、一番気がかりだったのはあの子達のことで。ちゃんと仲良くやっていけるのかどうか不安に思っていたの。けど、心配ないようね」
「スティング様とエリオス様ですか・・・」
「この間縁談をお受けすると返事したのも、あの子達が最近仲良くなったからなのよ。おせっかいと思われるかもしれないけど、私にはずっと気がかりだったから。
あの子達二人は私にとっていつまでも小さな子供だと思っていたけれど、いつの間にか大人になっていたのね」
少し寂しげに微笑む。
「私も大人にならなくちゃね」
優しい笑みを真剣な表情に変える。
「イリアス、あちらのご都合がよければ来週にでも北エンドレスを訪れると連絡を入れておいて。それからイスティアへの飛空挺の利用手続きもとっておいて頂戴。お母様に直接お話しするわ」
きりっとした態度でイリアスに言い渡す。その様子にイリアスも安心したようだ。
「承知いたしました。それでは私はこれで」
一礼するとイリアスは部屋を後にした。
一人きりになったフィオールは窓の外の二人をもう一度見遣る。
大人気なくまだ何か言い合っているようだ。
「喧嘩するほど仲が良いって言うものね」
そんな二人を見てフィオールは嬉しそうに笑うと、レースのカーテンを閉め、部屋を出たのだった。


――――――― いつまでもこんなこと議論してたって仕方ない・・・」
疲れた様子でスティングがつぶやくと、同感というようにエリオスがうなずいた。
「無駄話だったな」
あれからまた何を討論しあっていたのか、二人とも息絶え絶えだ。
「・・・でも、姉上には幸せになって欲しいな」
スティングにエリオスも大きくうなずいた。しばしの沈黙。
すると突然スティングが声を上げた。
「あー、しまった。アクオスに会いに行く約束してたのすっかり忘れてた」
「ナチュラルのところに行くのか?」
「そうなるかな。この間夕食作ってもらったからそのお礼もしないと・・・」
「夕食・・・?」
鸚鵡返しに言うとスティングがうなずいた。
「キノコスパゲティだったんだけど。料理好きなディクスの妹だけあって美味しかったよ」
「そうか・・・」
「じゃあ、エリオス。僕行くよ」
「ああ、じゃあな」
そうしてスティングは館のほうへと行ってしまった。
大分歩いてからスティングは振り返った。エリオスもどこかに行ってしまったのか姿はなかった。
「・・・・・・まさかとは思うけど・・・エリオスのやつ・・・」
一人つぶやく。
「あの水の輝石も大事にしてるみたいだし・・・・・・」
ナチはエリオスを変えた人物だ・・・
疑問に思うがエリオス本人に訊くわけにもいかない。仕方なくそのわだかまりはスティングの心の中にしまっておくことにした。
見上げれば空の暗い雲は東へと流れ、西からいつもの透き通った美しい青い空がのぞいていた。先ほどまで無かった冷たい風も戻ってきたのか、スティングの髪を揺らす。
太陽の強い光をまぶしそうに見る。
スティングは一つ深呼吸をすると館に向かって走り出したのだった。



第12話 第14話
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