D.Force The Third Chapter
Force-18
リスタルの夜
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「リーンお姉ちゃん、お風呂有難うねー、すごく気持ちよかったよ〜」 ナチが髪を拭きながら嬉しそうに言う。ナチがせっかく帰って来てくれたのだから・・・と、リーンはラベンダー香る、特製の浴剤を入れてくれたのだ。その浴剤はナチの小さい頃の思い出があり、リーンと一緒に風呂に入るときはいつも素敵な香りの手製の浴剤を使ってくれたのだ。 「ナチュラルちゃん好きだったものね。良かった、用意しておいて」 「すみません、私まで・・・」 申し訳なさそうに言ったフルトだが、しっかりと風呂を堪能したのか肌がつやつやだ。 「いつもいつも仕事で忙しいのでこんなにリラックスできたので本当に久しぶりです」 王族の従者として常に緊張の糸を張りつめているのだろう。きりっとした普段の表情からは想像できないほどフルトの顔は緩みっぱなしだった。 「フルトさんはどんなお仕事されてるんですか?」 何気なくリーンが訊くとフルトはちょっと動揺したような表情を見せた。ナチもフルトを心配そうな表情で見つめている。 「えっと・・・秘書をしています」 「秘書を!なんだか素敵ですね。出来る女!って感じじゃないですか」 疑いもなく尊敬するリーンに二人は安堵した。もちろん間違ってもエンドレスの第2王位継承候補者の従者なんです。などとは言えるはずもない。 「あの、私先に休ませていただきますね。がたがた道をエレカーで走ってきたので肩が凝って・・・」 これ以上話していたらぼろを出してしまうかもしれない・・・。フルトは少々困惑気味にそう告げた。 「ええ、そうしてください。ではおやすみなさい、フルトさん」 そしてフルトは軽く頭を下げると今日の寝床へと一足早く就いてしまった。 リビングに二人っきりになったナチとリーン。手に持った暖かいカップスープで暖を取りながら長話を始めた。 「ナチュラルちゃんはどう?目標にしていたものになれそう?」 「うん。ちょっと現実味が湧いてきたと思う。正直今までどうしようって悩んでたんだけど、どう考えてもわたしにはその目標しか思い浮かばなくて・・・。お兄ちゃんを越えるような優秀な術者になるって、今頑張ってるの」 「そっかぁ。ずっと立派な術者になりたいって言ってたもんね。大丈夫!優秀なディクス君の妹だもの。絶対すごい術者になれるわ」 胸を張って断言したリーンにナチは笑った。 「でもいいなぁ、リーンお姉ちゃんは」 その言葉にリーンは首をかしげた。 「だって、ジョージお兄ちゃんみたいな素敵な男の人と結婚できたなんてうらやましいんだもん。それに、可愛い赤ちゃんだって」 「ナチュラルちゃんは早くお母さんになりたいんだ?」 「ん・・・やっぱそうなのかな?ずっとお兄ちゃんが一緒にいてくれたから寂しいとか感じたことはないんだけど・・・でも、お母さん、お父さん、そして子供がいる家族って言うのはどんななんだろうって・・・時々思うから」 「そうね・・・。相手の人を探し出すのは難しいかもしれないけど、でも、ナチュラルちゃんなら素敵な家族を作れると思うわ。ううん、絶対作れる!このリーンが言うんだから間違いないわ!」 と、また胸を張って断言した。 「ま〜、その前にディクス君かなぁ〜。ナチュラルちゃんが結婚するなんて言ったらきっとすごい形相で迫ってくると思うわよー。その相手はどんなやつなんだ!?ってね」 素敵な家族を作るよりもはるかに現実味のあるリーンの発言にナチはげんなりとした様子でうなずいた。 「そう、それが問題!わたしのことはどうでもいいから、まずは自分のこと先に考えればいいのに、お兄ちゃん全然そんなそぶり見せないんだもん。いい加減いい年なのに・・・」 「ナチュラルちゃんが突然フィアンセを連れてきた日にはディクス君きっと卒倒しちゃうでしょうね。卒倒ついでに心停止しちゃったりして!」 「リーンお姉ちゃん、冗談に聞こえない・・・」 面白そうに言うリーンだが、ナチは悲しそうにつぶやいた。 「ごめんごめん!ディクス君って行動パターンわかりやすいからついつい想像しちゃって」 そう言って、リーンはややぬるくなったスープを口にした。 「ナチュラルちゃんたちはこれからも旅を続けるの?」 「うん、多分・・・。実はいまデルタの宮殿にいるの」 するとリーンは驚いたように目を見開いた。手に持っていたカップをテーブルに置くと身を乗り出す。 「デルタの・・・宮殿!?ナチュラルちゃん、それってすごいことじゃない?あの宮殿でしょ?」 「わたし、術の最高位のマスターの称号が欲しくて。それで今は学術院に通っているの。通っているって言っても、普段は見せてもらえないような資料を見たりするような自学自習なんだけど、国が提供している場所でお兄ちゃんと一緒に」 「そういえばディクス君そのマスターの称号取ったんでしょう?なんだかすごく自慢してたみたいだったけど」 「普通は何年もかかるはずなんだけど、お兄ちゃんは数ヶ月で取得しちゃって。それでもわたしはまだだから」 「でも、デルタの宮殿・・・どんな場所なの?私、デルタには行った事あるんだけど、宮殿にはいけなかったから興味あるのよ。やっぱりすごいのかしら」 「すごいっていうか、広い」 デルタ自体も広いが、宮殿も比例して広い。敷地内に図書館はもちろん、複数の大きな庭園、そして術者のための巨大な演習場、そしてディクスとナチが住んでいるような館はもちろん、スティングたち王族が住まう巨大な建物、その他施設も点在するのだ。 その全てを備えた宮殿敷地は一日で回りきれるような広さではない。 「すごいわあ!もしかして、王族の人に会ったりとかはしないの?だってほら、王子様だって住んでるんでしょう?」 訊かれ、ぱっと思い浮かんだエンドレスの四兄弟。エリオスやアルバートに関しては王子と言われても、違和感は感じないが、スティングを思うと違和感を感じざるを得ない。 出会いが出会いだけにスティングを王子様などと特別扱いしたことがないせいだ。 「えっと、でも敷地が広いから・・・」 「えー、じゃあ見たことないのね。残念」 残念そうなリーンに、さっき一緒にご飯食べていた二人が王子様なんだよ、と、言いたくてしょうがないナチだったが、寸でのところで思いとどまった。 動揺を隠すようにカップのスープを飲み干す。 「ん・・・話し戻るけど、もしかして、スティングさんとエリオスさんも、ナチュラルちゃんと同じ学術に通っている術者なの?」 またナイスなタイミングで二人の名前が出てきたものだと思うが平静を保ってうなずく。 「う、うん、そう!お兄ちゃんに負けず劣らずの術力の持ち主で・・・えっと、すごい人!」 「スティングさんとエリオスさんって本当にかっこいいわよねー。対照的なところもなんだか魅力的というか・・・術も優秀なら点は二物を与えた!って感じよね」 一人で感心しているリーンにナチは苦笑するしかなかった。 ―――――― リーンお姉ちゃん、ごめん。その二人本当は院生じゃなくて王族・・・ 「で、ナチュラルちゃんはどっちが好きなの?」 「うくっ!」 さっき飲んだばかりのスープを戻しそうになった。リーンはにこにこしながら、けれど興味津々と言った様子でナチを見ている。 「どっちがって・・・」 「温和で人当たりのよさそうなスティングさんと、クールで知的なエリオスさんとどっちがいい?」 そのほかの選択肢はないのだろうか?と思いつつも、真剣に考えてみる。 スティングかぁ・・・確かに人当たりはいいのよね。温和だし。でも切れると怖いんだよね〜。第三者から見たら一目ぼれしそうな容姿だけど、恋愛対象と言うよりは旅の仲間って感じだし・・・ エリオスさんはと。本当はとっても優しいんだよね。ちょっと誤解されやすい性格だけど。意外に面白いし・・・でも、エリオスさんのことよく知らないしなぁ。うーん・・・ 「どっち?」 まだ訊いてくるリーン。恐らくはっきりと答えなければしつこく食いつくだろう。 スティングとエリオスの代役は・・・ そうだ! 「スティングとエリオスさんじゃないんだけど・・・」 「え?あの二人じゃないの?」 「数ヶ月前から"一緒に住んでる"んだけど」 「えええっ!?同棲!?」 「で、毎朝起きたら、ぎゅーって抱きしめてあげるの」 「だ、抱きしめる?大胆ね、ナチュラルちゃん・・・」 ナチの発言にリーンは焦ってもいるようだが、その目はらんらんとしている。 「わたしが本とか読んでると構ってって、せがんでくるし、作ったお菓子や料理は全部おいしそうに食べてくれるの。ちょっと相手しないとすねちゃうし」 「へ〜、子供っぽい人なのね」 「うん、そうなの。でもすっごく可愛くてかっこいいんだよ。背も高いし。」 「・・・・・・もしかしてディクス君も容認?」 「もちろん!」 ナチが自信を持って言うと、リーンは驚いたように目を見開いた。そして身を乗り出した。 「そうなの・・・あのディクス君も容認・・・。ナチュラルちゃん、その人の名前は?」 「セフィーロ」 ナチは満面の笑みで答えた。 ――――――― ドラゴンだけど・・・ そして心の中で付け加える。 「紫の瞳にグリーン(のうろこ)が鮮やかなんだよ」 「グリーン(の髪)なのね・・・」 甲乙つけがたい(?)スティングとエリオスの代わりのセフィーロ。 もちろん朝起きたらぎゅっと抱きしめてあげるし、いつも構ってくれとナチにせがんでくる。それにナチの作ったものなら何でもおいしそうに平らげてしまうし、ドラゴンだから当然背が高い・・・と言うよりは体がでかい。 「かっこいい名前ねー。どんな人がすごく気になっちゃう!ナチュラルちゃん、今度その人と会わせてね!」 「もちろん!」 実際にセフィーロと会って卒倒しなきゃいいけど・・・ そう思う。 「あ、ついでにねー。お兄ちゃんも同じだよ〜」 「ディクス君も!?」 「うんうん。いつもなでなでしてるし、ご飯作ってあげてる」 「な、なでなで・・・」 「そう!レクサスって言うんだけどね。最初はお兄ちゃんも恥ずかしそうだったけど、今では誰よりも可愛がってるんだよ」 リーンの驚きの表情は崩れない。 しかしその表情には半信半疑の色も伺える。ディクスが"可愛がる"とはどういうことなのかと疑問に思っているのだろう。 「男の人っぽい名前ね。・・・でも、良かったわ。ディクス君にも春が来て」 ―――――― ドラゴンだけど・・・ ナチは再び心の中で付け加えた。 「うーん、そうだとすると絶対にそのレクサスさんに会わなきゃねー!今度デルタに遊びに行こうかしら?」 免疫のない人にドラゴンをいきなり二頭も突きつければ卒倒しかねない・・・ ナチはそう思いつつ、苦笑した。 「セフィーロ今頃ちゃんと寝てるかなぁー、寂しがってないかな?」 窓の外に目を向け、つぶやいたナチを見るリーンの目はまだ驚きに満ちていたのだった。 一方の男だけのジョージの家。静まり返った周囲の家々とは対照的に、そこだけはやたらとテンションが高かった。 「そうそうそう!女ってのはあれだよな、勝手っていうかさ〜、俺たちのこと馬鹿にしてるよな!」 酒の入ったグラスを手にディクスはジョージに熱く語っていた。 「うん、ぼくもそう思う!結婚する前はなんかこう、おしとやかっていうかさ・・・まあ、ぼくも色々思い描いていたんだよ、結婚生活!でも実際はなかなかそうはいかなくてさ〜。仕事で遅れて帰ってくるといっつも文句言われるし〜。確かに家の事はあまりできないけど、一生懸命働いてるんですよってね〜」 酒癖が悪いディクスとは飲みたくないと言っていた割には、ジョージは酒乱気味のようだ。ディクスと同じようにグラスを握り締めて日ごろの鬱憤をディクスに語っている。 「俺だってさ、頑張ってるんだぞ。どうしたらナチが喜んでくれるかな〜とか、どうしたら優しくしてもらえるのかなぁ〜とかさ。でも、ほとんど意味ナシ!あいつ、俺の有難味分かってないぃぃ〜!」 「うんうん。でも、ナチュラルもディクスみたいなシスコンは嫌だよな」 「俺はシスコンでもロリコンでもねぇぇぇ〜!」 深くうなずいたジョージにディクスは号泣しながら反論した。 「お前だってなぁ、あと十五年もすればリルが思春期になって"お父さん最低!"なぁんて、毎日のように言ってくれるようになるんだからな!ご愁傷様!」 「な、何!?ぼくはリルをそんな風に育てるつもりはない!いつだって"お父さん大好き!"なぁんて、毎日のように言ってくれるような娘に育ててみせる!」 やる気満々のジョージにディクスは不適に笑ってみせる。 「そんな理想はただの妄想でしかなかったって十五年後に分かるさ。そしてそこで思い知る。"俺の存在は一体なんなんだろう?"ってな!」 止めを刺すようにディクスは立ち上がり、ジョージに現実を告げた。ジョージはその言葉に手をわなわなと震わせ、そして勢いよく突っ伏した。 「今のディクスと同じようにはなりたくないぃぃ〜」 「俺はまだなってねぇぇ〜!」 そんな中年にやや近い二人とは少し離れてスティングとエリオスがやはり同じくグラスを手になにやら話をしている。 「大体お前は自覚がなさ過ぎるんだ!いつもいつもいつもいつも私や兄上達に迷惑をかけてばかりで、全然進歩していない!」 びしっと指を差す。もちろんその方向は顔を引きつらせているスティングだ。 「そんなこと言ったって、エリオスも同じじゃないか。小さい頃はよくしかられてただろう?」 「若気の至りだ!それに問題を起こすのは子供の特権。スティング、お前はいつまでも子供でいるつもりか?エンドレスの国王は子供でした。なんて、各国のお笑い種だぞ」 「――――― はいはい、僕はまだ子供が抜け切れてませんよ。国王になるまでには大人になっておくから」 深いため息をついて、エリオスをなだめるように言う。しかし、そのスティングの憂鬱そうな仕草にエリオスはかちんと来たのか、グラスをだんっとテーブルに叩きつけるとスティングに顔を近づけてにらんだ。 「そのへらへらした顔がいけないんだ。女みたいな顔だからなめられる。そのピアスと長髪が助長しているんだ!少しはきりっとした表情で望んだらどうだ?たまには男らしくビシッと決めてみろ!」 ・・・と、こちらもディクスとジョージに負けず劣らず酒乱だ。 特に酒に弱いエリオスは相当酔っているらしい。顔を真っ赤にして普段は言わないような不満をスティングに叩きつけている。 唯一冷静なスティングは、エリオスをおとなしくしようと口数少ないが、そろそろそれも限界に近づいてきたようだ。 「エリオス!兄に向かってそんな言い方はないだろう?僕だって僕なりに懸命なんだ!エリオスに不満ばっか漏らされる筋合いはない!」 「兄だって!?一ヶ月も年が違わないお前を私は兄だなんて認めたことないぞ!情けない兄なんて真っ平だ!」 「うっわーっ、そういうこと言う!?分かってはいたけど、エリオスって相当ひねてるよね?もしかして、エリオスが僕にだけ不満たらたらなのは愛の裏返しっ!?」 「馬鹿言うな!お前が男だろうが女だろうが許婚だろうが、絶っっっ対に結婚してやらん!」 「だれもそんなこと頼んでない!」 エリオスの一方的な攻撃が、ついに双方向の論争に発展してしまった。 兄弟げんかの始まりである。しかも、酒の入った悪質の。 そして再びディクスとジョージ。 「なんだよー、ディクスは行き遅れてるくせにー!」 「失礼な!行き遅れたくて行き遅れてるんじゃね〜っ。行き遅れたくないのに行き遅れてるんだ!覚えとけ!」 「でもさー、ナチュラルにくっついてると本当にディクス嫌われるよ!それこそ、"お兄ちゃん大っ嫌い!!"なぁんて、毎日のように言うんじゃないか?」 「な、何!?俺はあいつをそんな風に育てたつもりはない!いつだって"お兄ちゃん大好き!"なぁんて、毎日のように言って・・・」 「"ない"んだね?」 ジョージがディクスの言葉を代わりにつむぐと、ディクスはがっくりと頭を垂れた。 しかし、 「うっせー!お前だってなぁ、あと十五年もすればリルが思春期になって"お父さん最低!"なぁんて、毎日のように言ってくれるようになるんだからな!ご愁傷様!」 「な、何!?ぼくはリルをそんな風に育てるつもりはない!いつだって"お父さん大好き!"なぁんて、毎日のように言ってくれるような娘に育ててみせる!」 再び先ほどの会話が再生される。酔っ払いの特徴だ。 そして、 「今のディクスと同じようにはなりたくないぃぃ〜」 「俺はまだなってねぇぇ〜!」 と、二人は再びテーブルに突っ伏したのだった。 「スティング、嫁の貰い手がいなくなるぞ」 「誰が嫁なんだ!」 酔っ払いのもう一組。額に青筋を浮かべつつ、エリオスの相手をまだしているのはスティングだ。スティングは冷静さを取り戻しているようだが、ストレスがたまっているのはしっかり目に見えていた。 口元をぴくぴくさせながらも、自分を諌めようと奮闘している。 「わかったよ。僕が全部悪いから。うん、ごめん。だから少し酒を控えようね」 そういうとスティングはエリオスのグラスをさっと取り上げた。 「あっ、何を・・・!」 エリオスが手を伸ばす。 スティングはグラスを取り返そうとしたエリオスの手首をつかみ、引き寄せると、空いているもう一方の手のひらを彼の額にべちっと押し付けた。 「エリオス!」 強い口調で言う。するとエリオスはすっと目を閉じてしまい、テーブルに崩れた。 術の効いたエリオスに、スティングはため息をついた。そして今のうちにと、グラスと酒瓶を片付ける。 しかし、崩れてからほんの数分もたたないうちに、エリオスはだるそうに身を起こした。 「起きた?」 頭を抱えて辛そうにしているエリオスにスティングは足を組み、さらに腕を組んでジト目で出迎えた。そんな不機嫌そうなスティングの表情に当のエリオスは眉をひそめた。 「・・・・・・また・・・酔っていたか・・・」 エリオスは重い頭を抱えつつ、嘆く。するとスティングはここぞとばかりにうなずいた。 「そう!また僕のことを散々馬鹿にしてたな、エリオス。確かに僕は君と歳が同じだから兄として認めてもらえないかもしれない。だけど、僕は君に兄として認められるようにと今まで頑張ってきたんだ。それ知っているのか知らないのか、君は何事も言いすぎなんだ!」 「―――――― 悪かった・・・」 さっきの勢いとは打って変わってエリオスはしゅんとした様子を見せた。 通常の状態と、酔っている間は気が強いらしいが、酔いがさめ、けだるい状態はエリオスの弱点らしい。今までの鬱憤とばかりに説教を始めたスティングの言葉をすまなそうに聞いている。 立場は完全に逆転だ。 「エリオス、ちゃんと聞いてるのか!?」 「・・・・・・聞いてます・・・」 ジョージの家の飲んだくれの四人。 ストッパーがいないその家は、大騒ぎな喧嘩が深夜まで続いたのだった。 |