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Skylove
FirstFlight

第5話 食への欲求

「へぇー、こんなところあったんだー」
ラグーンとカシスは小さな池のほとりいにた。イグヌへの配達の仕事も終え、今から遅めの昼食だ。
『ルクレージュから離れておるのでな。この場所だったら誰にも迷惑がかからぬ。それに、ここには旨い葉が多くてな』
ラグーンは池の周囲をぐるりと見回した。
「いい加減町の人たちもラグーンの事認めてるんだし、こんなに遠い場所で食事しなくても良いんじゃない?」
ラグーンがやってきたばかりの頃、ドラゴンと言う存在は恐怖の的だった。
今でこそドラゴン本来の姿で町を行き来できるが、昔は森の奥深く、誰にも見られない場所限定でしかドラゴンに戻る事が許されなかったのだ。
『我の食事の音はうるさいしな。それに、一箇所で食事をするようでは、木を枯らしてしまう。様々な場所、広範囲でなければ森が持たぬ』
一箇所の木を食い尽くさないよう、ラグーンも気を使っているらしい。
「そっかぁ・・・」
『案ずることは無い。我にとっては当然の行為だ。むしろ、時が経ったとは言え、我を受け入れてくれたこの町に感謝しておるのだ。人間に蔑まされるのが当然だと思っておったのだから』
そう言ったラグーンの言葉に、カシスの胸が痛んだ。
ラグーンは人間の手によって撃ち落された経緯があるのだ。それがきっかけでドライブに会ったのだが・・・。
「それはラグーンが優しいからよ。皆それを知っているから・・・。皆、ラグーンの事を頼りにしているし、好いてるわ。ほら、学校の先生だって、参観日はラグーンご指名だったじゃない」
『参観日か・・・懐かしい響きだな』
笑っているのか、ラグーンの目が細くなる。
『さあ、昼食の時間にしよう。』
翼をたたみ、ラグーンは木のあるほうに歩き始めた。前足を木に掛け、口で枝を豪快に折った。
お気に入りの枝を手に入れると、カシスの傍にやってきた。
「じゃ、あたしもご飯食べようっと」
地面に座り、買ってきたサンドイッチを広げた。
ラグーンは早速食事を始めており、口の中に歯をたくさん詰め、美味しそうに食べている。
「ラグーンの分も買ってきたわ。高級ジャーキーには及ばないけど・・・」
カシスはジャーキーが大量に入った袋を取り出した。
『お・・・!すまぬな。後で戴くとしよう』
温かな日差しの下、二人は食事を始めた。
がさがさと、ラグーンが葉を食べる音が響く。
風が吹き、カシスのサンドイッチの包み紙がラグーンの足元に飛んでいってしまった。それを回収し、流れでラグーンの顔を見たカシスが首を傾げた。
「どうしたの?」
口に葉を詰めたまま、辺りを注意深く観察しているラグーン。
『いや・・・』
そうは言うが、ラグーンは何かを感じているようだった。のそりと立ち上がる。
『・・・少し気になることがあってな。カシス、ここで待ってもらっても?』
「うん、それはもちろんいいけど」
『すぐ戻る』
ラグーンは池の向こうに行ってしまった。森に入るにはドラゴンのままでは勝手が悪いのだろう。人化し、森に消えてしまった。
「どうしちゃったんだろう」
残されたカシスは、仕方なく一人で昼食を続けたのだった。
一方、ラグーンは森の中を探索するように歩いていた。
さっき昼食を取っている時、風の流れと共にやってきたもの。ラグーンはそれを察知していた。
間違いない。この近くに――――――
しかし、人の身では感知できるものも感知できない。ラグーンはうなり、森の中にスペースを探した。
「ここなら大丈夫でしょうか」
ようやくドラゴンが一頭座れるスペースを見つけ出した。その中心に立つと、ラグーンの体が発光し、ドラゴンの姿が現れた。
途端だった。
『!』
"探していたものの匂い"がラグーンを刺激した。
『やはり、間違っておらぬ!』
体を激しく木にぶつけながら、ラグーンは飛び出すように森を抜けた。
バシャッ!
川に足が派手に突っ込む。細い川にぶつかったところで、その匂いはさらに強くなる。
場所の特定をしようと、顔をめぐらせた時――――――
『む・・・?』
それはラグーンの腹のすぐ隣にいた。しりもちをつき、こちらを見上げている。
そして、その手には"匂い"の原因が。
『ドライブ?』
「ラ、ラグーン・・・?」
『何故おぬしがここに?』
顔を近づけ、ドライブの様子を窺っている。
「森を飛んでたらボードが落ちて・・・」
ラグーンが飛び出してきた衝撃が安心感を上回るのだろう。ドライブは呆けたようにそう言った。
『その枝、クルムの実だな?』
「え?・・・あ、ああ。途中で見つけたんだ。腹へってたから、枝を一本折って食べながら歩いてたんだけど。お前こそ、どうしてここに?もしかして――― 」
いち早く主人の危機を察し、探しに来てくれたのではないかと、一抹の期待がドライブによぎるが・・・
『配達の帰りにこの近くの池で食事を取っておったのだ。その時に、甘酸っぱい香りを感じてな。もしかして、クルムの実ではないかと探索していたのだが、間違いは無かったようだ』
と、ラグーンは嬉しそうに言い、口先で一粒実をつまんで食べた。
「俺じゃなくてこっちかよ・・・」
イラッとするドライブだが、この枝のおかげで捜索隊出動は免れたのだ。これ幸いと喜ぶほか無い。
ため息をつき、ラグーンに枝を差し出した。
『実だけ取って口の中に放り込んでくれぬか?』
と、ラグーンはドライブの危機も知らずに、のん気に口を開けている。
「・・・ったく」
ドライブは何粒かもぎ取り、口に放り込んだ。小さな実の味を堪能するように目を閉じて口を動かすラグーン。
『やはりこの実が一番美味いな』
ごくんと飲み込み、ドライブの手に残っている枝を凝視している。まだ実がたくさんついていた。
「・・・群生しているとこ、この辺りにあると思うけど。俺、その場所からここまで一時間くらい歩いたけど、そんなに遠くないと思う」
物欲しそうに枝を見ているラグーンにそう言う。
『ふむ。この辺りを捜索せねばなるまいな』
「まさかお前が飛び出てくるとは思わなかったよ。驚いて死ぬかと思った・・・」
ドライブは心境を語った。振り返ったと同時に巨体が飛び出してきたのだ。何が飛び出してきたのか分からなかったし、状況も理解できなかったのだ。
『いつまで腰を抜かしておる。早く背に乗るがいい。迷っておったのだろう?』
お見通しのラグーンに、ドライブはしぶしぶ背にまたがった。
森の上空に飛び出ると、自分がいた位置をすぐに把握できた。
どうやら、あの細い川を下っても町に着くことは出来なさそうだった。そもそも歩いていた方向は町への方向とは全然違っていた。
・・・危なかった・・・
ラグーンに会えて良かったと、ドライブは心底そう思った。
ラグーンは町の方角とは別へ飛んでいる。すぐに池が見えてきた。そのそばに見慣れた影が・・・
「げっ・・・!カシス!」
「ドライブ!?」
どこかに行ってしまったラグーンを心配に思っていたカシスだが、ドライブを連れて帰ってきた。どこから拾ってきたのかと驚いている。
ドライブはドライブで、なんとも格好悪い場面を見られたと恥ずかしい思いをしていた。
「ラグーン、もしかして、途中でどこかに行っちゃったのって、ドライブが近くにいるのが分かったから?」
『正確にはクルムの実の香りを感じて・・・だ。偶然ドライブがくっついておった』
「そのドライブはどうしてこんなところに?」
「そ、それは・・・」
まさか、遭難していましたなどと口が裂けても言えない。
口ごもっていると、ラグーンが先に口を開いた。
『ボードが落ち、町へ帰る途中だったそうだ。それが我と偶然出会わせたという事だ』
"遭難"というワードは出さず、ラグーンは言った。
「そうだったの?でも、良かったわね。森から町へ帰るなんて、すごく時間かかるから」
「あ、ああ・・・」
「もし、帰る方向もわからなかったら、こんな森でも遭難しちゃうし」
カシスの言葉がぐさりとドライブの胸を刺す。
「・・・お前こそどうしてここに?」
「ラグーンとデート中だったの。途中でラグーンどこか行っちゃうし」
『すまぬ。この件は後で埋め合わせさせて欲しい』
ラグーンが申し訳なさそうに頭を低くした。
「お前、クルムの実を食べたいが為にカシスを置き去りにしたのかよ・・・」
『食への欲求は本能だ。仕方あるまい。――― それにおぬしを見つけられたのだ。少しは我が嗅覚に感謝するがいい』
最後のほうは小さな声でラグーンは言った。どちらかというと、ラグーンは空気が読めるほうらしい。
「ねえ、夕方にも近いし、そろそろ町に帰らない?」
『うむ。そうした方がいいな・・・』
ラグーンが屈むと、カシスはドライブの後ろに乗った。
「カシス、落ちるなよ」
「それはこっちの台詞よ。気をつけてよね」
二人の体勢が整ったのを確認すると、ラグーンは翼を広げ、上昇を始めた。
ボードに乗って一人で空を楽しむのもいい。だが、ボードには無い、安心感のようなものをドライブは感じていた。
長年ラグーンの背に乗っていたのだ。体が落ち着くのは、この背中の上らしい。
「ねえ、ドライブ。そのエアウィング。なんだか新しくなってない?」
カシスがドライブが抱えているボードを指差している。
「ユンハカに壊されたからさ、修理してもらったんだ。色々いじったみたいだからテスト運転してたんだけど、バッテリー切れ起こしやがって・・・」
「それで森に不時着したの?」
おかしそうに言うカシスに、ドライブは不機嫌そうにうなずいた。
「また充電すれば良いじゃない。綺麗にしてもらったんだし、それに、博士の事だから何かすごい機能をつけてくれたんでしょ?」
「リンカーはつけてくれたみたいだけど、そのリンカーも電池切れだぞ?またどこか欠陥があるんじゃないかって、冷や冷やだよ、こっちは。・・・どんなシステム使ってんだよ、あれだけで落ちるなんて」
ボードをひっくり返し、パネルをこじ開けた。だが、四角い箱のようなものがはめ込まれ、道具無しには開けて見られない機密構造のようだ。
その箱になにか小さな文字で書かれてあった。途中から文字が削り取られて読み取れない。
修理前は"マキシマム"という製品名がでかでかと書かれていたはずだが。
「型番?・・・ヴェイ・・・なんだ?」
うまく発音できず、その文字を凝視していると、カシスに肩を叩かれた。
「降下するからつかまれって、ラグーンが」
視線を落とせば町が見えていた。さすがにラグーンの翼は速い。
町のすぐ外に着地地点を定めると、ラグーンは降下を始めた。背に乗っている二人を落とさないよう、慎重になっているのが伝わってくる。
ラグーンが翼を畳むと、二人は地面に足をつけた。
「有り難う、ラグーン。楽しかったわ」
「俺は全然楽しくなかったわ」
カシスの隣でまだ不機嫌そうにドライブが言う。
『うむ。また飛ぼうぞ。いつでも声を掛けるが良い』
「うん。じゃ、あたし用事あるからこれで。ドライブ、博士を責めたら駄目だからね」
そして、カシスは手を振り、町に中に消えてしまった。
『責めるなだそうだぞ』
「うるさいな!誰のせいで落ちたと思ってんだよ」
『そのボード、かなり綺麗になっておらぬか?新品同様だ。それにただの充電不足なのだろう?充電すればまた飛べる。少しは怒りを押さえ、ユンハカ殿に感謝するがいい』
「アイツを嫌ってるお前が言うなよ。さっさと人化しろよ。帰るぞ!」
飛ばないボードを抱え、ドライブが町の門をくぐる。
「・・・一日中イライラしてる人ですね、ほんとに」
姿を変えたラグーンは肩をすくめ、ドライブの後を追ったのだった。


次の日の朝。ドライブは早速ユンカースの家に向かっていた。
昨日、不時着したボードを携えて。
「心ばかりのお詫びは気に入ってくれたかい?私が贔屓にしている店の特製オードブルなんだけど」
ユンカースは第一声そう言った。
昨日、ドライブが帰宅すると、エルビアが大きなオードブルを持ってきたのだ。聞くと、ユンカースにお詫びの品だと渡されたのだという。
そこでピンと来たのだ。
「やっぱり、お前、俺が森に不時着したの分かってたんだな・・・!」
「いやいやいやいや。気付いたのは、最後の連絡があった大分後だ。悪かったよ、ドライブ」
笑いならが言うユンカース。
お詫びの品を持って行ったんだから許してねという意図がありありと汲み取れる。
「GPSでたまに位置を確認してたんだけど、時間経ってるのにほとんど移動していなかったから、まさかと思って」
「GPS?」
「飛行できなくても、GPS機能が動作するくらいの電気は十分残っているからね。それで確認したんだ」
腕を組んでユンカースは一人うなずいている。
「驚いたよー。もしかしてバッテリー切れのせいで立ち往生してるんじゃないかって思ったときは、ドライブ、森の真っ只中だったからね。これはやばいと思って、慌てて君の家にお詫びの品を持っていったんだ」
「その前に俺を助けに来いよ!!順番違うだろ!遭難するところだったんだぞ!」
「だからお詫びの品を送ったんじゃないか。大事な仕事があったんだ。手を離せなくてね。それに、派手にして救助隊でも送ったら、君は間違いなく怒るだろう?ドライブだったら、自力で戻ってこれるんじゃないかなーって思ってたし」
最もな話だ。
救助隊を送れば、余計な世話だと怒り心頭な様子は容易に推測できた。それに、実際戻ってこれたのだ。
自力ではないが。
「バッテリー交換しろ!大容量のやつ!」
話を方向転換させるように、ドライブはボードを突き出した。
「せっかく軽量化したのに?」
「だったら節電対策!限界までな」
その様子にため息をつくユンカース。
「ま、中途半端に仕上げてしまった私も悪いけどね・・・分かったよ」
しぶしぶボードの裏のパネルをはずした。
特殊な道具で中から箱のようなものを取り出し、作業台の上に置くと、ボードの中をミニライトで照らして点検を始めた。その作業の様子を見ていたドライブが、箱を手に取った。
「ユンハカ、パネルの中にあったこれだけど」
A4サイズほどの白い箱を掲げて見せた。
「ああ、メインシステムね。それがどうかしたかい?」
「文字かいてあるけど、どこのメーカー?ヴェイ・・・なんとか」
ドライブは文字が書いている場所をなぞった。その文字をじっと見つめるユンカース。
「・・・そうか・・・そうだったね」
心なしか低いトーンの声。
ユンカースは棚の中から同じ大きさの箱を取り出して見せた。
大きな文字で"マキシマム"と箱に書かれている。
「もともとこのボードには"マキシマム"と呼ばれるメインシステムが搭載されていたんだ。そのシステム名がそのままボードの製品名になったみたいだけど」
マキシマムと呼んだ箱を戻し、今度はドライブが持つ箱を取った。
「これは"ヴェイルフレイラ"。このボードの頭脳そのものだ。メーカーの名前じゃないよ」
「そうなの?初めて聞いた」
「それはそうだろうね。これが搭載されるのはこのボードで最初で最後だろうから」
ヴェイルフレイラと呼ぶ箱を置き、ユンカースはボードの中を探り始めた。
「・・・まさか、欠陥品で製品化できなかったとか・・・!?」
すると、ぴたりとユンカースの動きが止まった。
「ヴェイルフレイラは高度技術の塊だよ?欠陥はありえない」
再び手を進めるユンカース。
「ふーん・・・ヴェイルフレイラね・・・」
「そう。このボードはマキシマムなんて、どこにでもある名前じゃない。高度技術の粋、ヴェイルフレイラだよ」
ユンカースはボードから小さな何かを取り出し、他のものに付け替えると、ヴェイルフレイラ本体をボードに取り付けた。
「性能の悪いコンデンサーとか、その他もろもろの理由で電気の消費が悪かったらしいね。換えておいたから大分違うと思うよ」
パネルを閉じ、床に置いた。
「はい。もう飛べるよ。昨日充電しておいただろう?」
「一応な」
「少し飛んだらまた戻っておいで。今度はアビオニクス入れるから」
「何それ・・・」
「いわゆるブラックボックスってやつだよ。さ、行った行った!」
倉庫の扉を開け放ち、ユンカースは空を指差した。
「通信テストも兼ねよう。私の呼びかけに応えてくれよ」
返事もせず、ドライブは空に舞い上がった。
『ドライブ、聞こえるかい?』
すぐにリンカーからユンカースの声が聞こえた。
「・・・聞こえるよ」
『ならいい。乗ってまだ浅いと思うけど、何か要望とかある?要望に沿えるように努力するけど』
「じゃあ、早速なんだけどさ」
ドライブは足元にあるアクセルに視線を落とした。普通ならこの踏み具合を調節して速度を変えるのだ。
「リンカーで飛ぶんだったら、アクセルいらないんじゃ?間違って踏みそうなんだけど・・・」
リンカーを使用する限り、アクセルは必要ないものだ。
しかし、ユンカースは首を振った。
『何かの弾みでリンカーが壊れたり、落ちたらどうする?』
「え・・・?ボードを・・・操縦できない?」
『そう。だから、リンカーが壊れたり、リンカーが落ちてヴェイルフレイラへの指示が途絶えた時、システムは自動的にマニュアルモードに切り替わるよ』
「指示が途絶えるって・・・?」
訝しげに問うと、ユンカースのため息が聞こえた。
『操術士を目指すなら、リンカーの仕組みくらい覚えておかないとね、ドライブ』
最もな発言にドライブが気を害すと、ボードが急に加速した。怒りや恐怖など、気分が著しく不安定になった時、術の威力が増す事と同じように、このボードも加速するらしい。
気持ちを安定させ、ボードをコントロールさせなければならないのは術の扱いとまるで同じだ。
それに気付いたドライブは、気持ちを静めるように一つ深呼吸をした。予想通り、ボードの加速は弱まり、安定した走りを始めた。
『リンカーは君の意思を読み取り、それを解析して常にヴェイルフレイラに指示を送り続けているんだ。体からリンカーが外れると指示が途絶えてしまう。その状態が二秒以上続いた時、マニュアルモードに切り替わるようになってるんだよ』
「なるほど」
『その時はアクセルを使っていつものように飛べば良い。当然だけど、垂直上昇とかバックはできないから。アクセルの操作だけじゃそこまでの指示は出来なくてね』
「ふーん」
『それと、リンカーは手に持ってても動作はするけど、リンカーは必ず肌に密着させる事!特に耳の辺りなんかは意思とリンカーのアクセス状態が一番言い場所だと言われてるから、通常は耳につけるようにね。ああ、服のポケットなんかに入れて操縦しないように。薄い布でも、リンカーと体を隔てるものがあると雑音が入ってヴェイルフレイラに正しい指示がいかないから』
ユンカースの長い説明も耳には入ってくるが、どこか上の空でドライブは空を堪能している。
『それと!ボードとかマキシマムとか、そこら辺の俗物と一緒に括らないこと。それはヴェイルフレイラという正式名称があるんだからね』
「ヴェイルフレイラ・・・ね。オーケー、覚えた」
面倒そうに言い、ドライブは早々に地上に下りた。
「はい。じゃあ、頼むぞ。その・・・アビ・・・なんとかってやつ」
「頼まれるよ。夕方にはできるから。取りにおいで」
「ああ」
そして、ドライブはヴェイルフレイラを残して帰った。
それを手にしているユンカース。
「そうか・・・君だったのか・・・」
悲しいとも、嬉しいとも判断が付かない表情。その場に立ち尽くし、ヴェイルフレイラを見つめていたのだった。


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